Summer Heat and Hypoglycemia
同じ薬なのに夏は「効きすぎる」──熱中症と紛らわしい夏の低血糖
暑い日ほど重い低血糖が増えるという報告が、米国と台湾の大規模なデータから出ています
お盆の午後、庭の草取りを2時間ほどして家に戻ったところで、冷や汗が出て、手が震えて、目の前がぼんやりしてきた——。こうなったとき、たいていの人はまず「熱中症だ」と考えます。涼しい部屋で横になり、水を飲んで様子をみます。
ところが糖尿病の薬を使っている方の場合、まったく同じ症状が夏の低血糖で起きていることがあります。このとき水だけを飲んで横になっても低血糖は戻らず、そのまま悪くなっていくことがあります。見た目がそっくりなのに、必要な対応が正反対だからです。
「薬は何ひとつ変えていないのに、夏だけ調子が悪い」。この訴えは以前から知られていましたが、ここ数年、気温と薬の関係を数百万人規模のデータで検証した研究が相次ぎ、印象の話ではなくなってきました。何がどこまで分かっていて、どこから先がまだ推測なのか。そして今日から何をすればよいのかを整理します。
この記事の内容
夏に低血糖が増えるというのは本当か
米国の研究チームが、公的医療保険の記録と気象データを結び付けて調べています。対象は5つの州の2型糖尿病のある約296万人。そのうち、この研究が対象とした4種類の薬(SU薬・DPP-4阻害薬・グリニド薬・GLP-1受容体作動薬)を使っていた約71万人について、住まいの郵便番号ごとの「その日の最高気温」と、入院や救急受診が必要になった出来事を突き合わせ、1999年から2010年までを追いかけたものです。2024年に英国の医学誌BMJ Openで報告されました。
結果は薬の種類によってはっきり分かれました。スルホニル尿素薬(SU薬)——すい臓を直接刺激してインスリンを出させる、古くからある飲み薬です——のうち、グリメピリドとグリベンクラミドを使っている人では、その日の最高気温が高いほど、重い低血糖が増えていました。一方、同じ仲間のグリピジド(日本では販売されていません)では、この関係は出ませんでした。同じ分類の薬でも結果が分かれたわけです。体からの抜けやすさの違いが関係している可能性はありますが、この研究がそこまで確かめたわけではありません。
数の感覚もつかんでおきます。SU薬を使っている人に重い低血糖が起きた頻度は、気温の区分ごとにみると、1,000人が1年間使ったとして20件台から36件台の幅にありました。この幅がまるごと暑さのせいというわけではありませんが、まれな出来事ではないことは分かります。
日本と条件の近い台湾でも同じ向きの結果
別の研究チームは、米国と台湾のデータを並べて検証しています。医療保険の記録にいた65歳以上のインスリン使用者は、米国で約200万人、台湾で約28万人。この中から、6月から9月に重い低血糖で救急受診や入院になった出来事(米国で約3万2千件、台湾で約1万件)を取り出し、その日の暑さと、同じ人の別の日の暑さを比べています。同じ人の中で比べるので、年齢・持病・生活習慣といった個人差が結果に混ざりにくい設計です。暑さの指標には、気温だけでなく湿度も加えた「暑さ指数」が使われました。先ほどの研究が最高気温だけを見ていたのとは、そこが違います。
その結果、住んでいる地域で歴史的にみて上位1%に入るような蒸し暑い日には、重い低血糖の起こりやすさが、中くらいの暑さの日と比べておよそ4割高くなっていました。米国と台湾でほぼ同じ大きさです。あわせて行われた別枠の集計では、SU薬だけを使っている人(米国の約9万人)でも同じくらいの差が出ています。一方、メトホルミン(血糖の下げ方が穏やかで、単独では低血糖を起こしにくい飲み薬)だけを使っている人では、同じ関係は確認されませんでした。少なくともこの解析では、低血糖を起こしうる薬を使っている人のほうに差が出た、ということになります。
暑いと血糖が下がりやすくなるのはなぜ?
決定的な原因がひとつあるわけではなく、いくつかの経路が同時に重なると考えられています。
- 食べる量が減る——そうめんだけ、アイスだけで済ませる日が増えても、薬の量は変わりません。インスリンを出させる薬は「食べていなくても出させて」しまうので、食事だけが減ると差し引きで下がりすぎます。
- 動く量が突然増える——草取り、墓参り、旅行、孫の相手。普段の生活では起こらない量の歩行や作業が、前ぶれなくやってきます。
- 皮膚の血の巡りが増える——体は熱を逃がすために皮膚の血管を広げます。皮下に注射した薬はこの血流に乗って吸収されるため、暑い日は吸収が速くなります(次の項目で詳しく)。
- 脱水——水分が減ると腎臓の働きが一時的に落ちます。SU薬は腎臓の働きが落ちると効果が長引く代表格で、飲んだ翌日まで低血糖が続くことがあります。
- 気づきにくくなる——低血糖の初期症状である汗・動悸・だるさは、暑さそのものでも起こります。「暑いからだ」と解釈してしまい、手当てが遅れます。
つまり、薬が変わったのではなく、薬を取り巻く条件のほうが一度に変わるのが夏だということです。なお、ここに挙げた5つは先ほどの研究で直接測られたものではなく、これまでの知見から考えられる要因です。
お風呂やサウナのあとに低血糖が起きる理由
3つ目に挙げた「皮膚の血の巡り」については、古いながら分かりやすい実験があります。インスリンを使っている8人に、目印をつけたインスリンを皮下に注射してもらい、85度のサウナに25分ずつ2回入った日と、部屋で過ごした日とで、注射した場所からインスリンが消えていく速さを比べたものです。
サウナに入ると、インスリンが吸収される速さは室温のときのおよそ2倍になりました。血糖値も、同じ人のサウナなしの日と比べて50〜60mg/dLほど余分に下がっていました。打った量はまったく同じなのに、効き方が変わったわけです。皮膚の温度が上がるほど注射後の血中インスリンが高くなることは、別の実験でも確かめられています。
温泉や銭湯、サウナが身近な北海道では、思い当たる場面があるはずです。長風呂のあと、サウナのあと、炎天下の草刈りのあと。「打った量は同じだから今日も同じはず」が崩れるのは、こういうときです。
夏に低血糖を起こしやすい薬はどれ?
「糖尿病の薬」とひとまとめにされがちですが、低血糖の起こしやすさは薬によってまったく違います。
| 薬の種類 | 低血糖の起こしやすさ | 夏に特に気をつけたい点 |
|---|---|---|
| SU薬(グリメピリド・グリベンクラミド・グリクラジド) | 高い | 効果が長く続く。腎臓の働きが落ちるとさらに長引く |
| インスリン注射 | 高い | 暑さで吸収が速くなる。保管温度にも注意 |
| 速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬) | 中くらい | 食事の直前に飲む薬。食べない食事の分をどうするかは処方時の指示に従う |
| DPP-4阻害薬 | 単独では低い | SU薬と併用しているときは低血糖が増える |
| メトホルミン | 単独では低い | 脱水のときは休薬が原則 |
| SGLT2阻害薬(尿から糖を出す薬) | 単独では低い | 脱水とケトアシドーシスに注意 |
日本でも、救急に運ばれるほどの重い低血糖を起こした人の背景を調べた調査があります。日本糖尿病学会が全国の施設に依頼し、2014年4月からの1年間に登録された798例をまとめたものです。救急部を持つ149施設でみると、重い低血糖は、その施設に運ばれてくる救急搬送のうち0.34%を占めていました。件数としては多くありませんが、運ばれてくる人の顔ぶれは偏っています。2型糖尿病の方の年齢は中央値で77歳でした。
高齢の方では、冷や汗・動悸・手の震えといった「危ないぞ」という警報が出にくくなることが知られています。警報が鳴らないまま、いきなり言動がおかしくなる、返事がかみ合わなくなる、意識が遠のく、という順で進むことがあります。腎臓の働きが落ちている方も、薬が抜けにくいぶん危険が大きくなります。
糖尿病の薬の全体像は糖尿病の治療(食事・運動・薬)のページで整理しています。
低血糖と熱中症の見分け方
夏にいちばん困るのが、この2つの症状がよく似ていることです。汗、だるさ、めまい、吐き気、頭がぼんやりする——ここまでは完全に重なります。
| 低血糖に傾く手がかり | 熱中症に傾く手がかり |
|---|---|
| 冷たい汗が出る/手が震える/強い空腹感/急に不機嫌になる・言葉が出にくい/糖分をとると10〜15分で戻る | 体が熱い/体温が高い/筋肉がつる/頭痛や吐き気が強い/涼しい場所で休むと少しずつ戻る |
ただし、この表はあくまで目安です。重い熱中症でも汗をかいていることはありますし、両方が同時に起きていることもあります。見分けようとして時間を使うより、本人が自分で安全に飲み込めるかどうかで対応を分けるほうが確実です。
受け答えができ、自分でコップを持って飲み込める状態なら、低血糖として糖分をとってもらうのが安全側の選択です。血糖が高い人が糖分を少しとっても大きな害にはなりませんが、低血糖を放置すると数十分で危険な状態になるためです。涼しい場所に移して体を冷やすことは、どちらであっても並行して行ってかまいません。
一方、呼びかけへの反応が鈍い、うまく飲み込めない、けいれんしているときは、口に食べ物や飲み物を入れてはいけません。のどに詰まります。この場合はその場で救急車を呼び、涼しい場所で体を冷やしながら待ってください。ご家族用にグルカゴン(血糖を上げる薬)を処方されている方は、指導された手順で使ってください。血糖測定器をお持ちの方は、迷って時間を使う前に測るのがいちばん確実です。
暑くて食べられない日、薬はどうする?
発熱・下痢・嘔吐で食べられない日を「シックデイ」と呼びます。夏は感染症だけでなく、食中毒や、暑さで食事も水分もとれなくなった状態でも同じことが起こります。逆に、食欲がやや落ちている程度で、いつもどおり食べて飲めているならシックデイではありません。このとき薬をどうするかは、薬の種類によって答えが逆になります。
- インスリンは自己判断で中止しない——特に1型糖尿病の方が中止すると、ケトアシドーシスという命に関わる状態を招きます。食べられなくても、量の調整をしながら続けるのが原則です。
- SU薬・グリニド薬——食事がとれないなら、減らす・その回は飲まないという判断になることが多い薬です。
- メトホルミン・SGLT2阻害薬——嘔吐・下痢・発熱があるとき、食事や水分が普段どおりとれないときは、脱水を悪化させるため原則としていったん休みます。いつ再開するかも含めて、あらかじめ確認しておいてください。
- 水分は少量ずつ何度も——一度に飲むと吐きやすくなります。食べられるなら、おかゆ・スープ・果汁など消化のよい炭水化物を優先します。
大事なのは、具合が悪くなってから調べるのでは間に合わないということです。休薬の判断が要る日は、たいてい判断力も落ちている日です。「どの薬を、どういう症状のときに、何日休むか」を元気なうちに紙に書いてもらい、お薬手帳と一緒にしておいてください。
尿から糖を出す薬を飲んでいる人が夏に気をつけること
SGLT2阻害薬は、糖を尿に捨てさせる薬です。心臓や腎臓を守る効果が確かめられ、いま広く使われています。ただし、もともと尿の量が増える薬なので、夏の発汗が重なると脱水が進みやすくなります。
- 正常血糖ケトアシドーシス——血糖がそれほど高くないのに、体が酸性に傾いていく状態が報告されています。強い倦怠感、吐き気、腹痛、息が荒くなるといった症状が出たら、血糖値が正常でも受診が必要です。
- 利尿薬との併用——尿を出す薬を併用していると、わずかな脱水で立ちくらみや腎臓の働きの低下が起こることがあります。
- 絶食を伴う予定——手術や内視鏡の予定があるときは休薬が必要です。日程が決まった時点でお知らせください。
- 高齢の方——75歳以上、あるいは65〜74歳でも筋肉量の低下や物忘れが気になる方では、慎重に使います。
先ほどの米国の研究では、DPP-4阻害薬のシタグリプチンを使っている人で、暑い日ほどケトアシドーシスがむしろ少なかったという、予想と逆の結果も出ています。理由は分かっていません。ただしこの研究のデータは2010年までのもので、SGLT2阻害薬はまだほとんど使われていなかった時期です。今の処方にそのまま当てはめて読むことはできません。
インスリンは夏の保管で効き目が落ちる?
見落とされがちですが、インスリンはたんぱく質でできています。熱で形が変わってしまうと、冷やしても元には戻りません。
- まだ使い始めていない製剤は、冷蔵庫(およそ2〜8度)で保管します。凍らせてはいけません。
- 使い始めたものは室温(おおむね30度以下)で遮光して保管します。毎回冷蔵庫に戻す必要はありません。使える期間は製剤によって違うので、説明書を確認してください。
- 夏の車内は50〜60度に達します。日の当たらない後部座席でも40度を超えることがあり、数時間の放置で変質しうるとメーカーが注意を促しています。
- 直射日光の当たる窓辺、ダッシュボード、暖房器具のそばは避けます。
- 保冷剤に直接触れさせないことも大切です。凍結も高温と同じくらい、あるいはそれ以上に問題になります。
- 透明なタイプのインスリンに濁りやかたまりが見えたら使わないでください。もともと白く濁っているタイプ(懸濁製剤)では、よく混ぜても均一にならない、粒が残る、容器の内側にかたまりが付く、といった変化が目印になります。判断がつかないときは使わずに相談してください。
「きちんと打っているのに血糖が下がらない」の原因が、実は真夏の保管方法だった、ということも起こり得ます。
9月になっても油断できないのはなぜ?
先ほどの米国と台湾の研究のうち、米国の解析では、暑さと重い低血糖の関係は真夏よりむしろ9月のほうがはっきり出ていました。なぜそうなるのかは、この研究では確かめられていません。暑さに慣れた体に気温の上下がのしかかること、行事や外出が増えること、本人も周囲も「もう夏は終わった」と警戒を緩めること——考えられる理由はいくつもありますが、いずれも推測の域を出ません。
札幌でも事情は同じです。観測史上の最高気温36.3度は2023年8月23日、統計を取りはじめた1876年以来の値です。2025年も7月24日・25日が歴代10位以内に入りました。2023年の夏(6〜8月)の北海道の平均気温は、1946年の統計開始以来もっとも高い値です。「北海道は涼しいから」という前提は、すでに過去のものになりつつあります。
住まいの側も追いついていません。内閣府の調査では、北海道・東北のエアコン普及率は2018年の6割台から2025年に8割弱まで上がりましたが、他の地域の9割ほどには届いていません。暑さから逃げられる場所が家の中にない時間が、その分だけ長くなります。
低血糖のとき、甘い物なら何でもいい?
よくある誤解が「甘い物なら何を食べても同じ」というものです。これは正しくありません。
- α-グルコシダーゼ阻害薬(食後の血糖の上がり方をゆるやかにする飲み薬)を使っている方は、砂糖では回復が大きく遅れます。この薬は、砂糖がブドウ糖に分解される過程を遅らせる薬だからです。必ずブドウ糖を用意してください。薬局で購入できますし、処方することもできます。
- チョコレート、アイスクリーム、菓子パンは脂肪が多く、糖の吸収が遅くなります。
- 目安はブドウ糖なら10g、砂糖なら20g。とったら15分待ち、戻らなければもう一度とります。
- 「ゼロカロリー」「糖類ゼロ」の飲み物では血糖は上がりません。夏の冷蔵庫がこの手の飲み物ばかり、ということは起こりがちです。
もうひとつ、夏に増える誤解が「効きすぎるなら、自分で薬を減らしておけばいい」というものです。自己判断の減量は、今度は血糖が上がりすぎる原因になります。夏に高血糖と脱水が同時に進むと、高齢の方では意識障害(高血糖高浸透圧状態)につながることもあります。夏は、低血糖と、脱水にともなう高血糖の両方が起こりうる季節です。片方だけを避ければよいわけではありません。減らすかどうかは、いつ・どんな場面で症状が出たかを伝えたうえで一緒に決めることです。糖尿病の合併症と予防のページもあわせてご覧ください。
夏の低血糖|明日からできること
- ブドウ糖の置き場所を3か所決める——カバンの中、車の中、寝室の枕元。
- 食欲がない日ほど、炭水化物を少しでも入れる——おにぎり半分でもかまいません。「食べられないから薬だけ飲んでおく」がいちばん危険です。
- 入浴・サウナ・草取り・墓参りの前後を要注意日と決めておく——インスリンを使っている方は、打つ量や食事のとり方を前もって主治医と決めておくと安心です。
- 「暑さのせい」で片づける前に測る——測定器をお持ちの方は、症状が出た「その場」の数値に意味があります。落ち着いてからでは分かりません。
- 休薬のルールを紙にしておく——食べられない日、絶食の検査がある日の扱いを、あらかじめ書いてもらってください。
- インスリンの置き場所を見直す——夏のあいだだけでも、車に置きっぱなしにしないようにします。
- 家族に低血糖のサインを伝えておく——「急に不機嫌になる」「同じことを繰り返し言う」は、本人には自覚できません。
- 暑い週が続いたら、次の受診で必ず申告する——「なんとなくふらついた日があった」は、処方を見直す十分な理由になります。
受診を考えるタイミング
次のような場合は、次回の予約を待たずに相談してください。
- 冷や汗・手の震え・強い空腹感が、夏になってから週に何度も起きる
- 糖分をとって回復した低血糖が、この夏に一度でもあった
- 暑さで食事量が明らかに減っている
- 強い倦怠感・吐き気・腹痛が続く(血糖が高くなくても起こることがあります)
- 立ちくらみ、ふらつき、口の渇きが強い(脱水のサインです)
- 下痢や嘔吐が続き、24時間以上まともに食べられていない
- 家族から「最近ぼんやりしている」「言うことがかみ合わない」と指摘された
いまの処方が合っているかどうかは、血糖の数値だけでは決まりません。年齢、腎臓の働き、ほかに飲んでいる薬、一人暮らしかどうかまで含めて考えます。何年も同じ処方が続いている方、特にSU薬を長く飲んでいる高齢の方は、暑い季節をきっかけに一度見直しておきたいところです。糖尿病そのものの成り立ちについては2型糖尿病の原因・症状・リスクもご参照ください。
よくある質問
夏だけ調子が悪いので、薬を減らしたりやめたりできますか?
減らすこと自体は選択肢ですが、自己判断でやめるのは避けてください。やめれば低血糖は減りますが、今度は血糖が上がり、脱水と重なると別の危険が出てきます。研究で分かっているのは「暑い日に重い低血糖が増える」ということであって、「夏は飲むな」ということではありません。いつ・どんな場面で・どんな症状が出たか、食事量がどれくらい減っているかを伝えていただければ、薬の種類の変更、量の調整、飲むタイミングの変更など、いくつかの方法から選べます。特にSU薬は、量を減らすより、低血糖を起こしにくい薬に変えたほうが安全なことがあります。
熱中症か低血糖か分からないときはどうすればいいですか?
まず、その人が自分で安全に飲み込めるかどうかを見てください。受け答えができ、自分で飲み込める状態なら、低血糖として糖分をとってもらうのが安全側の選択です。血糖が高い人が糖分を少しとっても大きな害にはなりませんが、低血糖を放置すると数十分で危険な状態になります。反応が鈍い、飲み込めない、けいれんしているときは、口に何も入れずに救急車を呼び、涼しい場所で体を冷やしながら待ってください。血糖測定器があれば、迷う前に測るのがいちばん確実です。
血糖測定器は持っていたほうがいいですか?
インスリンを使っている方は、測定の道具が保険で使えます。飲み薬だけの方の場合、自己測定は保険の対象外となることが多く、必要かどうかは低血糖を起こしたことがあるか、一人暮らしかといった事情によって変わります。診療のうえで必要と判断した場合にご案内しています。測定器がなくても、症状が出た時刻・そのときの状況・回復までの時間を記録しておけば、処方を考える十分な材料になります。
Leonard CE ほか(外気温と糖尿病治療薬別の重篤な有害転帰)BMJ Open, 2024年10月21日/Visaria A ほか(米国・台湾の高齢インスリン使用者における暑さと重症低血糖)Diabetes Care, 2024年・第47巻2号233-238頁/Koivisto VA(サウナによるインスリン吸収の促進)British Medical Journal, 1980年/日本糖尿病学会「糖尿病治療に関連した重症低血糖の調査委員会報告」(糖尿病 第60巻12号, 2017年)/日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2024-2025」/日本糖尿病学会「糖尿病治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」(2022年7月26日改訂)/気象庁「観測史上1〜10位の値(札幌)」/気象庁札幌管区気象台「2023年の記録的な高温」/内閣府「今週の指標 No.1411」(2026年4月28日)
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