その花粉症の薬、2027年3月から高くなる予定|OTC類似薬とは

Hay Fever Medicine and the New Extra Charge

その花粉症の薬、2027年3月から高くなる予定|OTC類似薬とは

「市販薬と同じ成分の処方薬」に上乗せ料金がかかる仕組みが検討されています

毎年おなじ花粉症の薬を出してもらっている方に、少し先の話をお知らせしておきます。2027年3月から、市販薬と成分・使い方・1日の最大量が同じ一部の処方薬について、いつもの窓口負担に加えて「特別の料金」がかかる仕組みを始める方向で検討が進んでいます。

対象の案として示されているのは77成分・およそ1,100品目。そのなかに、花粉症でよく使われている飲み薬が、いくつも入っています。

「じゃあ薬を変えてもらったほうがいいのか」と考えたくなるところですが、結論を先に言うと、そうとは限りません。順番にご説明します。

OTC類似薬とは?2027年3月に何が変わるのか

「OTC医薬品」とは、処方箋なしでドラッグストアや薬局で買える市販薬のことです。そして「OTC類似薬」とは、その市販薬と成分・飲み方(あるいは塗り方)・1日の最大量が同じ処方薬を指します。

これまでは、同じ成分でも「病院でもらえば保険が効いて安い」という状態でした。目的として説明されているのは、市販薬を自分で買っている方との間で負担の公平さをそろえること、そして保険料の負担が増え続けるのを抑えることです。

誤解されやすい点を先に書いておきます。厚生労働省は、この仕組みについて「市販薬の購入を勧めるためのものではない」とはっきり述べています。必要な受診をしていただくことが前提の制度だと説明されていますので、「これからは病院に行かず市販薬で」という趣旨ではありません。
■ 2026年8月時点で示されている案
項目内容
2027年3月開始予定対象の薬を処方されると、薬そのものの価格(薬剤費)の4分の1が「特別の料金」として上乗せされる
対象範囲(案)77成分・約1,100品目。解熱鎮痛薬、皮膚の保湿剤、アレルギーの薬などが挙げられている
実質の負担窓口3割負担の方の場合、薬剤費のおよそ半分を自分で払う計算になる
対象になる薬の範囲や、上乗せをしない方の条件は、厚生労働省の検討会で議論が続いており、2026年秋に決める予定とされています。ここに書いた内容は、開始までに変わる可能性があります。

花粉症の薬はいくら高くなる?

ここがいちばん気になるところだと思いますが、金額としては、それほど大きな話ではありません。

花粉症の飲み薬はもともと薬の値段が安いものが多く、その4分の1が上乗せされても、増える額は限られます。目安として、フェキソフェナジンをジェネリックではない先発医薬品で14日分処方された場合、窓口3割負担の方で150〜160円ほどの上乗せになる見込みとされています。

「値上がり」と聞いて身構えた方には、拍子抜けかもしれません。ただし、点鼻薬・点眼薬・湿布・保湿剤なども案に含まれており、まとめて処方されている方は合計するとそれなりの額になります。

対象になる花粉症の薬・ならない薬

花粉症に使われる抗ヒスタミン薬(アレルギーの薬)は、市販薬としても広く売られています。そのため、よく使われている薬ほど今回の案に入っています。

現在の対象成分案(上乗せあり)現在は対象外の成分
フェキソフェナジン
ロラタジン
エピナスチン
ベポタスチン
ケトチフェン など
セチリジン
レボセチリジン
ビラスチン
ルパタジン
デスロラタジン など

セチリジンは市販薬としても売られていますが、処方薬のほうが1日に使える最大量が多いため、いまのところ案から外れています。「市販薬にもあるかどうか」だけでは決まらない、ということです。

同じ成分でも、飲み薬か点鼻薬かといった剤形や用量によって扱いが変わる可能性があります。ご自身の薬がどれにあたるかは、お薬手帳や処方箋に書かれている成分名で確かめられます。商品名しか分からない場合は、薬局でお尋ねください。

ひとつ注意です。上の表は「上乗せの対象かどうか」だけで分けたものです。眠気の出やすさは薬ごとに違い、たとえばケトチフェンは眠気への注意が必要な薬です。同じ欄に並んでいるからといって、性質が同じという意味ではありません。

追加負担がかからない人は?

すべての人に一律で上乗せされるわけではありません。次のような方への配慮が検討されています。ただし、具体的な条件はまだ決まっていません。

  • 子ども
  • がんや指定難病の方(ただし「その病気や治療に関連して出された薬」など、対象を限る案が示されています)
  • 所得が低い方(配慮を検討する段階で、一律に免除と決まったわけではありません)
  • 入院中の方
  • 医師が「長期に使う必要がある」と判断した場合

最後の項目について、期待を持たせない書き方をしておきます。現在の検討案では、「長期に使う必要がある」の判断は、通年で症状が続き治療を続けている状態が中心に想定されています。季節性の花粉症がこれに当てはまるかどうかは、現時点では決まっていません。「毎年つらいから免除されるはず」とは、いまの段階では言えないとお考えください。

薬を変えたほうがいい?変えなくていい?

「対象外の薬に変えてください」とご希望される方が出てくると思います。ただ、そこで得をするとは限りません。

案で対象外とされている薬には、比較的新しく、もともとの薬の値段が高いものが多く含まれます。上乗せを避けるために薬を変えても、支払う総額はあまり変わらないか、かえって高くなることもあります。「対象だから変える」という理由だけで薬を変えるのは、あまり意味がありません。

逆に、薬を変える理由がきちんとある場合もあります。

  • 効き目をもう少し強くしたい——レボセチリジンやルパタジンは、眠くなりにくいタイプのなかではやや効果が高めとされています
  • すでに症状が出てしまっている——ビラスチンは効きはじめが早いとされ、飛散が始まってからの治療で使いやすい薬です
  • 腎臓や肝臓の働きが気になる——エピナスチンやベポタスチンのように、その点で扱いやすい薬もあります
  • 眠気が出て困っている・車の運転が仕事——薬によって運転に関する注意書きが異なります

つまり、選ぶ基準は「対象かどうか」ではなく、これまでどおり「その方にいちばん合っているかどうか」です。費用を気にされる場合も、上乗せ分だけでなく薬の値段そのものを含めて比べる必要があります。

市販薬に切り替えるべき?受診したほうがよい場合

症状が軽く、毎年ほぼ同じ経過で、市販薬でしのげているのであれば、それは以前から合理的な選択です。ただし前に書いたとおり、この制度は市販薬への切り替えを促すためのものではない、と説明されています。

そのうえで、次のような場合は受診をおすすめします。

  • 市販薬を飲んでも鼻づまりや目のかゆみが取れない
  • 鼻づまりで眠れない、口を開けて寝ている
  • ぜんそくの症状(咳・息苦しさ)も一緒に出ている
  • 眠気が強く、仕事や学業に差し支えている
  • 市販薬を何種類も買っていて、かえって費用がかさんでいる
  • 症状が毎年重く、そもそも体質から治療したい

最後の項目については、舌下免疫療法(スギ・ダニ)という選択肢があります。数年かけて体質そのものに働きかける治療で、今回の案の対象成分には含まれていません。毎年の薬代が気になる方にとっては、長い目で見た選択肢のひとつになります。

この制度でいちばん気がかりなのは、金額そのものよりも「病院に行かなくなる方が出ること」です。花粉症の薬は安いので、上乗せされても大きな額にはなりません。それでも「値上がりする」という言葉だけが残ると、受診をやめる方が出てきます。

花粉症の診察は、鼻の薬を出すだけの場ではありません。鼻づまりの奥にひどい副鼻腔炎が隠れていたり、咳をぜんそくとして扱う必要があったり、市販薬の飲み合わせが持病の薬とぶつかっていたり——そういうことが見つかる場でもあります。

市販薬で足りている方は、それでよいと思います。ただ、「毎年つらいのに、なんとなく我慢している」方が、値上がりの話をきっかけに一歩遠ざかってしまうのは避けたいところです。開始の予定は2027年3月です。それまでに、ご自身に合った薬と付き合い方を決めておきましょう。

よくある質問|OTC類似薬と花粉症の薬

Q. 花粉症の薬は2027年3月からいくら高くなりますか?

対象になる薬について、薬そのものの価格(薬剤費)の4分の1が「特別の料金」として上乗せされる案が示されています。花粉症の飲み薬はもともと値段が安いため、増える額は限られます。目安として、ジェネリックではない先発医薬品のフェキソフェナジンを14日分処方された場合、窓口3割負担の方で150〜160円ほどの上乗せになる見込みとされています。ただし点鼻薬・点眼薬・保湿剤なども案に含まれるため、まとめて処方されている方は合計するとそれなりの額になります。

Q. 自分の飲んでいる薬が対象かどうか、どうすればわかりますか?

対象は「市販薬と成分・使い方・1日の最大量が同じ処方薬」で、77成分・約1,100品目が案として示されています。花粉症でよく使われる薬では、フェキソフェナジン、ロラタジン、エピナスチン、ベポタスチン、ケトチフェンなどが挙がっています。一方、セチリジン、レボセチリジン、ビラスチン、ルパタジンなどは現在の案では対象外です。同じ成分でも剤形や用量で扱いが変わる可能性がありますので、ご自身の薬については診察のときや薬局でお尋ねください。

Q. 対象外の薬に変えてもらったほうが安くなりますか?

安くなるとは限りません。案で対象外とされている薬には比較的新しく、もともとの薬の値段が高いものが多く含まれます。上乗せを避けるために変更しても、支払う総額はあまり変わらないか、かえって高くなることもあります。薬を選ぶ基準は「対象かどうか」ではなく、効き目・効きはじめの早さ・眠気・腎臓や肝臓の働きなど、その方に合っているかどうかで判断します。

Q. 追加の負担がかからない人はいますか?

子ども、がんや指定難病の方、所得が低い方、入院中の方、そして医師が長期に使う必要があると判断した場合について、配慮が検討されています。ただし具体的な条件は未確定で、2026年秋に決める予定とされています。とくに「長期に使う必要がある」の判断は、通年で症状が続いている状態が中心に想定されており、季節性の花粉症が当てはまるかは決まっていません。

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