Kidney Stones Surge on Hot Days — What the Data Shows
気温が高い=尿管結石の発作が増える!
なぜ暑い日に発作が増えるのか。データが証明した理由と、今日からできる予防策
「夏は尿路結石が増える」は本当?
「急に脇腹や背中に激しい痛みが走り、救急車を呼んだ」——これが尿路結石の発作の典型的な訴えです。石が尿の通り道(尿管)に詰まり、そこを乗り越えようとする強いぜんどう運動が、あの激痛を生み出します。
臨床現場では以前から、「夏は尿路結石の患者さんが増える」という感覚がありました。世界的な研究でも、平均気温の高い月ほど尿路結石関連の受診が多くなることは示されていましたが、「1日単位で気温と発作の件数はどう関係するか」を詳しく調べた研究はありませんでした。
日本のデータで「1日単位の気温」との関係を解析
2023〜2024年に発表された福島県立医科大学の研究チームによる解析は、この疑問に答えようとしたものです。研究では2017〜2019年の医療データ(株式会社JMDC)と日本気象協会の気象データを組み合わせ、関東7都県と愛知県のデータを使いました(新型コロナの影響を排除するためこの期間に限定)。
対象としたのは、尿路結石による痛みで救急受診した患者。傷病名・時間外加算・鎮痛薬の使用から抽出し、9,769例のデータを分析しました。気象因子として調べたのは、最高気温・最低気温・平均気温・湿度・気温差・降水量・気圧・風速の8項目です。
分析結果のポイント
統計解析の結果、「気温が1℃上がるごとに、その日の救急受診件数が有意に増加する」ことが明らかになりました。関東7都県のデータで得られたこの結果は、愛知県のデータでも同様に確認されました。
一方、湿度・気温差・降水量・気圧・風速については、有意な関連は見られませんでした。暑さ(気温)だけが独立したリスク要因だったのです。
なぜ暑いと結石の発作が増えるのか?
メカニズムはシンプルです。
暑い日は汗が大量に出ます。汗で失われる水分を飲み物で十分に補えないと、体は血液から水分を引き戻そうとします。その結果、尿の量が減り、尿が濃くなります(濃縮される)。
尿が濃くなると、カルシウム・シュウ酸・尿酸などの成分が溶けきれなくなり、結晶として析出しやすくなります。これが徐々に固まって「石」になり、あの激痛を引き起こします。
尿路結石のおもな成分(参考)
結石の約7〜8割はカルシウム系(シュウ酸カルシウム・リン酸カルシウム)で、次いで尿酸結石(約15〜20%)です。尿酸結石は痛風がある方や高尿酸血症の方に多く、食事との関係が深いです。
どのタイプも「尿が濃くなること」が石を作りやすくします。
月別データで見ると、特に要注意なのは7〜9月
月ごとの平均気温と平均受診件数の関係を見ると、受診が多い順に8月・7月・9月と続き、気温が高い月ほど受診件数も多くなる傾向が明確に見られました。
つまり夏のピークはまさに今(7〜9月)であり、旅行・帰省・屋外行事などで水分補給が乱れがちなこの時期は、特に注意が必要です。
「尿路結石警戒アラート」の可能性
研究グループは「気温という身近な指標が、将来的には尿路結石の予防啓発に使える可能性がある」と考察しています。気象庁の熱中症警戒アラートと同じように、「気温が35℃を超える日は尿路結石にも注意」といった形での活用が期待されます。
現時点でそのような公的な指標はまだありませんが、「猛暑日 = 尿路結石のリスクも高い日」と意識しておくだけでも予防の意識が変わります。
尿路結石の予防:最も大切なのは水分補給
尿路結石の再発防止として、最もエビデンスが確立しているのは「たくさん水分を飲む」ことです。尿量を増やし、成分の濃度を薄めることが直接的な予防につながります。
夏の尿路結石予防チェックリスト
- 尿の色が薄くなるよう水分摂取を調整する(必要量は体格・活動量・気温によって異なります)
- 必要な水分量は、体格・運動量・気温によるので一律ではありません
- 外出時は水筒を持ち歩き、こまめに飲む
- アルコールは利尿作用で尿を濃縮するため飲み過ぎに注意
- シュウ酸の多い食品(ほうれん草・ナッツ・チョコレート)の過剰摂取を避ける
- 動物性タンパク質の過剰摂取(赤身肉・内臓類)も尿酸値を上げ、結石リスクを高める
- 過去に結石になったことがある方は、特に夏の水分補給を意識的に
痛風がある方は尿酸結石のリスクも高まります。高尿酸血症・痛風の管理については痛風外来のページもご参照ください。
「脇腹/腰が痛い」「尿が濁る」はお早めにご相談を
尿路結石は放置すると感染や腎機能への影響が出ることがあります。気になる症状があれば、ゆうしん内科クリニック(札幌市中央区)にご相談ください。
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