Retatrutide — World’s First Triple Hormone Receptor Agonist
3つのホルモンに同時に作用する次世代の肥満治療薬「レタトルチド」とは
マンジャロの作用に「グルカゴン」を加えた世界初の3受容体作動薬。第3相試験の最新結果を内科医が解説します
レタトルチド(retatrutide)とは—マンジャロの次に控える肥満治療薬
2026年5月、米国Eli Lilly社が「レタトルチド(retatrutide)」という肥満治療薬の第3相試験「TRIUMPH-1」の結果を発表しました。世界中の肥満治療の現場で大きな注目を集めています。
レタトルチドは、当院でも処方しているマンジャロ(チルゼパチド)と同じEli Lilly社が開発している週1回の皮下注射薬です。マンジャロの後継として研究が進められています。
なぜマンジャロより強力?レタトルチドの仕組み
レタトルチドの最大の特徴は、3つのホルモン受容体に同時に作用する世界初の薬剤であることです。
| 薬剤 | 作用するホルモン受容体 |
|---|---|
| ウゴービ(セマグルチド) | GLP-1(1つ) |
| マンジャロ(チルゼパチド) | GIP + GLP-1(2つ) |
| レタトルチド | GIP + GLP-1 + グルカゴン(3つ) |
マンジャロにすでに採用されている「GIP」と「GLP-1」は、どちらも食欲抑制・血糖コントロールに関わるホルモンです。レタトルチドはこれに加えて「グルカゴン」にも作用します。
グルカゴンは一般には「血糖を上げるホルモン」として知られていますが、同時にエネルギー消費を増やす働きも持つホルモンです。レタトルチドはこの3つのホルモン作用を同時に動かすことで、体重を減らす力をさらに高めることを狙った薬剤です。
※「GLP-1」「GIP」はいずれも食事をとると小腸から出るホルモンで、食欲やインスリン分泌を調整します。「受容体作動薬」とは、これらのホルモンの働きをまねる薬剤のことです。「第3相試験」は新薬の承認前に行われる、最後の大規模な臨床試験を指します。
レタトルチドで何キロ痩せる?
2026年5月に発表された第3相試験「TRIUMPH-1」では、肥満または過体重で何らかの合併症をもつ(糖尿病はない)成人2,339人を対象に、レタトルチドを80週間(約1年半)使用した効果が検証されました。比較対照として「プラセボ(薬の成分を含まない偽薬)」が使われています。
数字の読み方
たとえば体重100kgの方が最高用量を使った場合、80週後には平均で約28kgの減量になります。プラセボ(偽薬)群は約2kg減にとどまったため、薬剤による効果といえます。
さらに最高用量を使った人のうち、約45%が30%以上の減量に到達しました。これは従来「減量手術(バリアトリック手術)」でしか到達が難しいとされてきた数字です。
もっと長く使うとどうなる?—104週(2年間)データ
試験開始時のBMI(体格を示す指数)が35以上だった方を対象に、薬剤の使用を104週まで延長したサブ試験では、最高用量で平均-30.3%(約38.5kg)の減量が報告されました。腹囲、悪玉コレステロール、中性脂肪、血圧、炎症の度合いを示す血液マーカーなど、心臓・血管の健康に関わる項目も全体的に改善したことが示されています。
レタトルチドとマンジャロ、どっちが効くのか?
マンジャロ(チルゼパチド)の第3相試験「SURMOUNT-1」では、72週時点で最高用量の平均体重減少は約-22.5%でした。レタトルチドの-28%台と比べると数字の上では大きな差に見えます。
ただし、レタトルチドとマンジャロを「同じ条件で直接比較した試験」はまだ行われていません。
試験の対象者・期間・用量設定が異なるため、単純に「レタトルチドの方が優れている」と結論づけることはできません。今後、両薬剤を直接比較する試験が実施されてはじめて、本当の優劣がわかります。
現時点で確実に言えるのは、「3つのホルモン受容体に同時に作用する薬剤がはじめて臨床で大きな結果を出した」という事実です。
レタトルチドの副作用は?
レタトルチドの主な副作用は、マンジャロやウゴービなど既存のGLP-1系薬剤と同様、吐き気・下痢・嘔吐・便秘などの消化器症状です。多くは薬の量を増やしていく時期に現れ、用量を慎重に上げていくことで軽減できることが報告されています。
もう一つ、それ以前の第2相試験では用量に応じた心拍数の軽度上昇も報告されています。心臓に持病がある方では慎重な評価が必要とされており、第3相試験の詳細データが今後出てくる中で改めて整理されていくと考えられます。
レタトルチドは日本でいつから使える?
レタトルチドは現在も第3相試験が複数進行中で、2026年現在、日本でも米国でも未承認です。米国での承認申請・承認は今後数年のうちと業界では予想されていますが、確定したスケジュールではありません。
承認スケジュールの見通し(あくまで個人的な予想)
※ 以下は2026年5月時点での内科医個人の見通しです。臨床試験の進捗・各国規制当局の判断・製薬会社の市場戦略によって大きく前後します。確定情報ではなく「外れる前提で」ご覧ください。
- 残りの第3相試験群(TRIUMPH-2 / TRIUMPH-3 / TRIUMPH-5 / TRIUMPH-OSA / TRIUMPH-MASH / TRANSCEND-T2D-1 など)の結果が 2026年後半〜2027年前半 に揃う見込み
- 米国FDAへの承認申請(NDA提出):2026年第4四半期 あたりが予想されている
- 米国FDAでの承認:2027年後半〜2028年(業界コンセンサスの予想)
- 日本での承認:さらに後ろ倒しで、早くても2028〜2029年以降と予想(あくまで個人の感覚)
日本での承認時期はこのように不確定で、当院でいつ処方できるようになるかは現時点で確定的なことは言えません。マンジャロ・ウゴービ・リベルサスといった既存薬の進歩も並行して進んでいるため、最終的にどの薬剤がどう位置づけられるかは今後数年で大きく変わる可能性があります。
レタトルチド—ここまでのポイントまとめ
- レタトルチドは世界初の「GIP・GLP-1・グルカゴン」3受容体作動薬。週1回の皮下注射で使う
- 第3相TRIUMPH-1試験では、80週で最高用量-28.3%・104週で-30.3%の体重減少を達成
- 最高用量を使った約45%が「-30%以上」の減量に到達し、減量手術と同等レベルの数字を出した
- マンジャロより数字上は大きく見えるが、直接比較した試験はまだないため断定はできない
- 副作用は主に消化器症状で、既存のGLP-1系薬剤と共通する
- 日本での承認時期は未定。当院で処方できるようになる時期は現時点で不明
いま処方できるダイエット薬は?マンジャロ・ウゴービ・リベルサス
レタトルチドが日本で使えるようになるのは数年先ですが、当院では現時点でマンジャロ(チルゼパチド)・ウゴービ(セマグルチド)・リベルサス(経口セマグルチド)などのGLP-1系薬剤をご処方できます。それぞれ作用や使い方・費用が異なるため、患者さんの体質・生活スタイル・希望に合わせて選びます。
詳細は以下のページもご参照ください。
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