SGLT2阻害薬とCKD ― フォシーガ・ジャディアンスによる腎保護効果

SGLT2阻害薬とCKD腎保護

フォシーガ・ジャディアンスが
腎臓を守るしくみ

SGLT2阻害薬は糖尿病薬として登場しましたが、大規模臨床試験により
糖尿病の有無を問わずCKDの進行を抑える効果が確認されています。

札幌市中央区|ゆうしん内科クリニック

WHAT IS SGLT2 INHIBITOR

SGLT2阻害薬とは

SGLT2阻害薬は、腎臓の尿細管でブドウ糖の再吸収を担うタンパク質「SGLT2」を阻害することで、余分な糖を尿に排出して血糖を下げる薬です。もともと2型糖尿病の治療薬として開発されましたが、大規模な臨床試験を通じて心臓・腎臓への保護効果が明らかになりました。

日本で使用できる主なSGLT2阻害薬は以下のとおりです。

フォシーガ

ダパグリフロジン

CKD適応:2021年8月〜

ジャディアンス

エンパグリフロジン

CKD適応:2023年〜

MECHANISM

なぜSGLT2阻害薬が腎臓を守るのか

腎保護効果のメカニズムは血糖降下とは別のしくみによります。主なものを以下に示します。

1

糸球体内圧の低下

SGLT2阻害薬は近位尿細管でのナトリウム再吸収を減らし、輸入細動脈を収縮させることで糸球体内の圧力(糸球体内圧)を低下させます。過剰な圧力は糸球体を傷つける主な原因のひとつで、これを減らすことで腎臓を保護します。

2

蛋白尿の減少

糸球体内圧が下がることで、蛋白尿(アルブミン尿)が減少します。蛋白尿は腎臓への炎症を促進し、線維化を加速させるため、これを減らすことが腎機能の保護につながります。

3

抗炎症・抗線維化作用

腎臓内の炎症を抑制し、線維化(腎臓が硬くなること)を遅らせる作用があります。これらの作用は血糖降下作用とは独立しているため、糖尿病でない患者さんでも腎保護効果が期待できます。

4

血圧・体重への好影響

尿中への糖・ナトリウム排泄増加により、軽度の利尿効果と降圧効果が生じます。体重減少も腎保護に間接的に寄与します。

CLINICAL EVIDENCE

主要臨床試験の結果

DAPA-CKD試験(ダパグリフロジン・2020年)

  • 対象:eGFR 25〜75、尿アルブミン/Cr比 200〜5000 mg/gCr のCKD患者(糖尿病あり・なしを問わず)
  • 結果:腎複合エンドポイント(eGFR 50%以上低下・末期腎不全・腎死・心血管死)が39%低下
  • 意義:糖尿病のないCKD患者でも有効であることを初めて大規模に証明した試験

この結果を受け、フォシーガは2021年8月に日本でCKD適応を取得。eGFR 25以上・蛋白尿あり(UACR 200 mg/gCr以上)が基本的な使用条件。

EMPA-KIDNEY試験(エンパグリフロジン・2022年)

  • 対象:より広範なCKD(eGFR 20〜45、またはeGFR 45〜90+蛋白尿)
  • 結果:腎複合エンドポイントが28%低下
  • 意義:eGFRがより低い(G4に近い)患者でも有効性を示した

ジャディアンス(エンパグリフロジン)は2023年にCKD適応を取得。

INDICATION & CAUTION

適応条件と注意点

使用できる目安

  • eGFR 25以上(開始時)
  • 蛋白尿(UACR 200 mg/gCr以上)がある
  • 糖尿病の有無を問わない

注意が必要なケース

  • eGFRが非常に低い場合(開始不可)
  • 脱水・発熱・手術前後は一時休薬
  • 尿路感染症・性器感染症のリスクあり

SGLT2阻害薬は全てのCKD患者に適応があるわけではなく、適切な時期・条件での使用が重要です。患者さんの腎機能・蛋白尿・合併症の状態を総合的に評価した上で、使用するかどうかを判断しています。

FAQ

よくある質問|SGLT2阻害薬とCKDについて

Q. 糖尿病がなくてもフォシーガをCKDに使えますか?

はい。2021年よりフォシーガは糖尿病の有無を問わずCKDへの適応が認められています。eGFR 25以上・尿アルブミン/Cr比 200 mg/gCr以上が基本的な使用条件です。

Q. eGFRが低すぎるとSGLT2阻害薬は使えませんか?

開始時にeGFRが25未満の場合は新たに開始できません。ただし、使用中にeGFRが低下しても継続できる場合があります。「もっと早く始めればよかった」とならないよう、適切な時期に開始することが重要です。

Q. 飲み始めるとeGFRが一時的に下がると聞きましたが大丈夫ですか?

SGLT2阻害薬を開始すると、糸球体内圧の低下に伴いeGFRが一時的に少し下がることがあります。これは薬の腎保護機能が働いているサインであり、多くの場合は問題ありません。むしろその後のeGFR低下速度が緩やかになります。

Q. SGLT2阻害薬の副作用で心配なことはありますか?

主な副作用は尿路感染症・性器感染症(尿中に糖が増えるため)です。発熱・嘔吐などで食事や水分がとれない時は一時的に服用を中止し、医師に相談してください。1型糖尿病への使用は原則として行いません。

Q. SGLT2阻害薬だけでCKDは治りますか?

SGLT2阻害薬はCKDの進行を遅らせる効果がありますが、それだけで「治る」わけではありません。血圧管理・血糖管理・塩分制限・RAS阻害薬などとの組み合わせが重要で、生活習慣の改善も並行して行う必要があります。

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