Which Department
睡眠時無呼吸症候群・いびきは何科に行けばいい?
内科・耳鼻科・歯科の役割と選び方
「SASかもしれないけれど、何科に行けばいいか分からない」——迷う方が多い疑問です。内科・耳鼻咽喉科・歯科がそれぞれどんな役割を担い、どんな場合に向いているかを内科医が解説します。
Quick Answer
まず結論——迷ったら内科(呼吸器内科・一般内科)へ
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断・CPAP治療の開始・長期管理は、内科(または呼吸器内科)が中心です。日本の保険診療において、CPAP管理を担う主体は内科医です。複数の診療科が関わることもありますが、最初の受診先として「まず内科」が最も一般的で、診断から治療まで一貫して対応できます。
SASは睡眠専門病院だけで診るものではなく、一般内科クリニックでも診断・CPAP管理が可能です。在宅PSG機器や遠隔管理システムの普及により、大学病院や専門センターに行かなくても地域のクリニックで完結する診療体制が広まっています。
Each Department’s Role
各診療科の役割——何が得意で何が苦手か
内科(一般内科・呼吸器内科)最初の受診先として最適
得意なこと:SASの診断(PSG検査)、CPAP治療の導入・月次管理、高血圧・糖尿病・脂質異常などの合併生活習慣病の同時管理
特徴:SASと高血圧・心房細動・糖尿病は合併率が高く、これらをまとめて管理できる内科は治療の効率が高い。CPAPの保険管理は内科が主体。
こんな方に:「いびきがひどい」「日中眠い」「健診でSASを疑われた」「血圧が下がらない(SASが原因の可能性)」
耳鼻咽喉科手術・鼻の問題がある場合
得意なこと:上気道(鼻・口蓋・扁桃・咽頭)の形態的評価、手術療法(口蓋垂軟口蓋咽頭形成術・扁桃摘出術など)、鼻閉・鼻中隔弯曲の治療
特徴:SASの約90%は上気道の閉塞が原因であり、その構造を専門とするのが耳鼻科。ただし手術でSASが根治できるのは一部の症例に限られ、特に扁桃肥大が主因の小児SASや若年成人で効果が見込みやすい。
こんな方に:「子どものいびき・口呼吸が気になる」「鼻が詰まっていてCPAPが使いにくい」「手術で根治を目指したい」
歯科・口腔外科マウスピース(口腔内装置)を希望する場合
得意なこと:口腔内装置(OA:Oral Appliance、スリープスプリント)の作製・調整
特徴:CPAPが使えない・使いたくない軽〜中等症のSAS患者に対し、就寝中に装着するマウスピースで下顎を前方に固定し気道を確保する治療法。内科でSASの診断を受け、処方箋(診断書)を持参して歯科で作製するのが一般的な流れ。歯科単独でSASを診断することは通常ない。
こんな方に:「CPAPではなくマウスピースで治療したい」「出張・旅行が多くCPAPを持ち歩けない」「軽症で経過観察中だが治療を開始したい」
循環器内科心疾患が主体の場合
得意なこと:心房細動・心不全・高血圧性心疾患などの管理
特徴:中枢性睡眠時無呼吸(CSA)は心不全との合併が多く、循環器内科が主体となることがある。閉塞性SAS(OSAS)でも心血管合併症が重篤な場合は循環器内科との連携が必要になることがある。
こんな方に:「心不全の管理中にSASが見つかった」「心房細動とSASを合併している」
Comparison
症状・状況別——どの科に行くべきか早見表
| こんな方は | まず受診すべき科 |
|---|---|
| いびきがひどい・日中眠い・家族に無呼吸を指摘された | 内科(診断から治療まで一貫) |
| 健診・職場でSASを疑われた | 内科 |
| 血圧が下がらない(SASが背景の可能性) | 内科(高血圧とSASを同時管理) |
| 子どものいびき・口呼吸・扁桃腺の腫れ | 耳鼻咽喉科(小児SASは扁桃摘出で改善することが多い) |
| 鼻が詰まっていてCPAPが使いにくい | 耳鼻咽喉科(鼻閉の治療後にCPAPへ) |
| CPAPではなくマウスピースで治療したい | 内科で診断→歯科で作製 |
| 心不全・心房細動とSASを合併している | 循環器内科と内科の連携 |
| 職業ドライバー・運送業で検査義務がある | 内科(診断書発行に対応) |
「何科か分からなければ内科」でほぼ間違いない理由
SASの診断に必要な睡眠検査(PSG)を実施し、CPAPの処方・管理ができるのは主に内科医です。耳鼻科や歯科が強みを持つ領域(手術・口腔内装置)が必要と判断された場合は、内科から紹介することができます。最初から専門科を探すより、まず内科で全体像を評価してもらう方が診断の漏れが少なく、余分な受診も減ります。
FAQ
よくあるご質問
- Q. 「睡眠専門外来」がある大病院の方が良いですか?
- 必ずしもそうではありません。大学病院や睡眠専門センターは複雑な中枢性SAS・難治性ケースに強みがありますが、典型的な閉塞性SAS(OSAS)の診断・CPAP管理であれば地域のクリニックで十分に対応可能です。むしろ待ち時間が短く、月1回の定期受診も通いやすいクリニックの方が継続率が高くなる傾向があります。
- Q. 内科とは別に耳鼻科も並行して受診できますか?
- 可能ですが、CPAPの保険管理は1施設のみで行う必要があります。耳鼻科で鼻の治療を受けながら、内科でCPAP管理を継続するという分担は問題ありません。その際は両方の担当医に情報を共有しておくことが重要です。
- Q. 「呼吸器内科」と「一般内科」どちらが良いですか?
- SASの管理に限れば大きな差はありません。呼吸器内科は肺・気道疾患の専門科であり、SASの診療経験が豊富な医師が多い傾向がありますが、「一般内科でSASを専門的に診ているクリニック」も多く存在します。医師の経験・設備(在宅PSG機器・CPAP管理システムなど)で選ぶ方が実態に合っています。
- Q. オンライン診療でSASの診断・管理はできますか?
- 初回のPSG検査は機器を実際に貸し出す必要があるため、最初は郵送対応またはクリニック受診が必要です。診断確定後のCPAP継続管理は全国オンライン診療で対応しており、遠方の方や多忙な方でも月1回の定期管理を続けやすい体制を整えています。
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※本記事はゆうしん内科クリニック院長が監修した医師解説記事です。個別の受診先の推薦ではありません。最終更新:2026年4月
