MOUNJARO SIDE EFFECTS
マンジャロの副作用|吐き気・下痢・便秘はいつまで?ピークと対処法
お腹の症状が中心で、量を増やす時期に出やすい。世界と日本人の試験データから、楽にする方法とすぐ受診すべき症状まで整理しました
「打った翌日から胃がムカムカする」「量を増やしたら便秘がひどくなった」——マンジャロ(一般名:チルゼパチド)を始めた方から、こうしたご相談をよくいただきます。マンジャロの副作用はほとんどがお腹の症状で、量を増やす時期に出やすく、多くは軽いまま落ち着いていきます。
この記事では、約2,500人が参加した世界の大規模試験と、日本人を対象にした試験のデータをもとに、マンジャロの副作用の種類と頻度、ピークといつまで続くか、楽にする方法、そして様子を見てはいけない症状までを順に整理します。
この記事の内容
マンジャロの副作用はほとんどが「お腹の症状」
マンジャロの副作用のほとんどはお腹に関する症状(吐き気・下痢・便秘・嘔吐・胃もたれなど)です。マンジャロは胃の動きをゆっくりにし、食欲を抑える方向に働くため、その作用が「お腹の不快感」として出やすいのです。
世界の大規模試験(SURMOUNT-1:糖尿病のない肥満・過体重の方を対象にした72週間のランダム化比較試験)では、お腹の症状の大半は軽い〜中くらいの程度で、副作用を含む体調の変化(有害事象)を理由に使用をやめた方は4〜7%程度(偽薬では約3%)でした。
日本人の肥満症の方を対象にした試験(SURMOUNT-J:225人・72週間)でも傾向は同じで、お腹の症状はチルゼパチドを使った方の5〜6割に出たものの(偽薬でも約3割)、その9割以上が軽度で、重度の方はいませんでした。
マンジャロの副作用と発生割合|実際の研究データ
世界の大規模試験(SURMOUNT-1)
| 副作用 | 5mg | 10mg | 15mg | 偽薬 |
|---|---|---|---|---|
| 吐き気 | 24.7% | 33.4% | 31.1% | 9.6% |
| 下痢 | 18.9% | 21.3% | 22.9% | 7.2% |
| 便秘 | 16.7% | 17.4% | 11.8% | 5.8% |
| 嘔吐 | 8.3% | 10.8% | 12.3% | 1.7% |
| 胃もたれ(消化不良) | 9.0% | 9.7% | 11.1% | 4.1% |
| 食欲が減る | 9.5% | 11.6% | 8.6% | 3.3% |
※SURMOUNT-1(72週間)の安全性解析対象2,517人の集計。医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査報告書(ゼップバウンド、2024年)に掲載された数値です。
日本人を対象にした試験(SURMOUNT-J)
| 副作用 | 10mg | 15mg | 偽薬 |
|---|---|---|---|
| 便秘 | 16.4% | 27.3% | 6.7% |
| 吐き気 | 13.7% | 23.4% | 4.0% |
| 下痢 | 12.3% | 9.1% | 4.0% |
| 嘔吐 | 6.8% | 11.7% | 4.0% |
| 食欲が減る | 12.3% | 7.8% | 1.3% |
| 注射部位の反応 | 5.5% | 5.2% | 0% |
| 体調の変化(有害事象)で使用を中止 | 9.6% | 10.4% | 6.7% |
※日本人の肥満症の方を対象にしたランダム化比較試験(72週間・解析対象225人)。糖尿病の方は含まれていません。
世界の試験では吐き気が最も多かったのに対し、日本人の試験では便秘が最も多いという違いがありました。日本人の試験は人数が少なく、用量も10mgと15mgだけなので、細かな差を読み過ぎないことが大切ですが、「日本人では便秘対策が特に大事」という実感とは合う結果です。
数字の読み方
「吐き気24.7%」と聞くと多く感じますが、偽薬(効き目のない薬)でも約1割に吐き気が出ています。また、これは「約1年半のあいだに1回でも経験した割合」であり、ずっと吐き気が続くという意味ではありません。どちらの試験も製薬会社が実施したもので、試験に参加できる方の条件が決まっているため、実際の診療で同じ数字になるとは限らない点も研究の限界として知っておいてください。
マンジャロの副作用のピークはいつ?いつまで続く?
マンジャロの副作用が出やすいのは、量を増やしている時期です。マンジャロは2.5mgから始めて4週間ごとに少しずつ増やしていくため、その切り替わりのたびにお腹の症状が出たり強まったりしやすくなります。PMDAの審査報告書でも、便秘・吐き気・下痢・嘔吐が初めて出たのは主に増量期で、維持する量に達して4週間以上たってから初めて出た方は少なかったと報告されています。
どのくらい続くかは症状によって大きく違います。日本人の2型糖尿病の方を対象にした試験の集計(製薬会社の資料)では、症状が出てから治まるまでの日数の中央値(症状が出た方の半数が治まるまでの日数)は次のとおりでした。量によって差があるため、幅で示します。
- 嘔吐:1日
- 下痢:約3〜11日
- 吐き気:2〜44日(量が多いほど長め)
- 便秘:約200〜330日(半年以上)
糖尿病の方のデータなので、ダイエット目的で使う方にそのまま当てはまるとは限りませんが、吐き気や下痢は「増量後しばらく」の一時的なもの、便秘は「長く付き合う可能性があるもの」と考えて、早めに対策を始めるのが現実的です。
「きつい」と感じたら無理に増やさない
副作用がきつい時期に予定どおり量を上げると、症状が重なってつらくなりがちです。増量を先に延ばす、1つ前の量に戻すといった調整ができます。自己判断で量を変えたり、打つのをやめたりせず、まず処方した医師に相談してください。
マンジャロの副作用を楽にする方法
吐き気・嘔吐への対処法
吐き気はマンジャロで最もよく相談を受ける副作用ですが、以下の工夫で楽になります。
- 少量ずつ、何回かに分けて食べる:一度にたくさん食べると胃に負担がかかります
- 「お腹いっぱい」の手前で箸を置く:胃の動きがゆっくりになっているため、以前と同じ量では多すぎることがあります
- 脂っこい食事・刺激の強い食事を控える:揚げ物や辛い料理は吐き気を悪化させやすい
- ゆっくり食べる:早食いは胃の負担を増やします
- こまめに水分を摂る:脱水は吐き気を悪化させます
- 吐き気止めの処方:症状が強い場合は医師に相談してください。当院では必要に応じて吐き気止めを処方しています
ただし、吐き気止めはあくまで症状を和らげるものです。何度も吐いて水分がとれない、強い腹痛を伴うといった場合は、薬で抑えるのではなく受診してください(後述の「すぐ受診すべき症状」を参照)。
下痢がつらい場合
- 水分と塩分をしっかり補給する(経口補水液が効果的)
- 食物繊維の多い食品を一時的に控える
- 整腸剤(ビオフェルミンなど)の併用も有効です
便秘がつらい場合
- 十分な水分を意識的に摂る
- 野菜・海藻・きのこなど食物繊維を多く含む食品を取り入れる
- ウォーキングなど適度な運動を心がける
- 必要に応じて下剤を使用
食事量が減ると便のもとになる量も減るため、マンジャロ使用中の便秘は起こりやすい状態です。数日出ないだけで慌てる必要はありませんが、お腹が強く張る、ガスも出ない、吐き気や嘔吐を伴う場合は腸の動きが止まっている(腸閉塞)可能性があるため、早めに受診してください。
マンジャロで注意すべき重大な副作用
頻度はまれですが、添付文書(薬の公式な説明書)には、早く気づくことが大切な「重大な副作用」が挙げられています。
以下の症状が出たらすぐに医療機関を受診してください
- 急性膵炎(0.1%未満・まれ):お腹の上の方から背中にかけての激しい痛みが続き、嘔吐を伴う場合。膵炎になったことがある方は使用に注意が必要です
- 胆のう炎・胆管炎:右の肋骨の下あたりの痛み、発熱、皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)
- 腸閉塞:お腹が強く張る、便やガスが出ない、吐き気・嘔吐を繰り返す
- 脱水による腎臓のトラブル:嘔吐・下痢で体の水分が減りすぎると、腎臓に負担がかかることがあります。尿の量が極端に減った、ふらつくといった場合は受診してください
- 低血糖(血糖値が下がりすぎる):マンジャロ単独では起こりにくいですが、インスリンやSU薬など糖尿病の他の薬と併用している場合は注意が必要です。冷や汗・手の震え・動悸が出たらすぐにブドウ糖を摂取してください
- アレルギー反応(アナフィラキシー・血管性浮腫):発疹・かゆみ・息苦しさ・顔や喉の腫れ。極めてまれですが、出たらすぐに受診を
胆のうのトラブルは、マンジャロに限らず急に体重が減ると起こりやすくなることが知られています。世界の大規模試験では、胆石などの胆のうに関係する症状はチルゼパチドを使った方の1〜3%程度で、偽薬(約1%)との差は大きくありませんでしたが、右上腹部の痛みや発熱が出たときは思い出してください。
脱毛・注射部位の反応など、その他の副作用
抜け毛(脱毛)
世界の大規模試験では、抜け毛はチルゼパチドを使った方の約5%に見られ、偽薬(約1%)より多い結果でした。アメリカの添付文書では体重の減少と関係があるとされ、特に女性で多く報告されています。急な体重減少や、食事量が減ることによるたんぱく質不足が関わると考えられています。詳しくはGLP-1ダイエット薬と抜け毛の記事で解説しています。
注射部位の反応
注射したところが赤くなる、かゆくなるといった反応が、日本人の試験では約5%に見られました。多くは軽いもので、毎回同じ場所に打たず、少しずつ位置をずらすことが予防になります。
飲み薬への影響(経口避妊薬など)
マンジャロは胃の動きをゆっくりにするため、飲み薬の吸収に影響することがあります。特に経口避妊薬(ピル)は、使い始めや量を増やした直後に効果が弱まるおそれがあるとされています。ピルを使っている方は、他の避妊方法の併用について医師・薬剤師に相談してください。
手術・胃カメラなどを受ける前は必ず申告を
全身麻酔や深い鎮静(眠った状態での検査)を受ける際、決められた絶食を守っていても胃に食べ物が残り、誤って肺に入ってしまった例が報告されています。手術や胃カメラなどの予定がある場合は、マンジャロを使っていることを必ず事前に伝え、担当医の指示に従ってください。
「副作用がない=効いていない」は誤解
「吐き気がまったくないけれど、ちゃんと効いているのか不安」「吐き気が強いほど痩せるのでは」という質問をよくいただきます。
この点を調べた2025年の解析があります。世界の大規模試験4つ(SURMOUNT-1〜4)のデータを使い、吐き気・嘔吐・下痢があった方となかった方で体重の減り方を比べたところ、どちらも同じくらい体重が減っていました。体重減少全体のうち、お腹の症状で説明できる部分はわずか(数%程度)と推定されています。
つまり、マンジャロは「気持ち悪くて食べられないから痩せる」薬ではなく、副作用がなくても効果は期待できます。逆に、吐き気をがまんして無理に量を上げても、その分痩せるわけではありません。なお、この結果は試験終了後に改めてデータを分析した「事後解析」であり、因果関係まで証明したものではない点が限界です。
副作用を最小限にするコツ|ゆっくり量を増やすのが大事
マンジャロの副作用を抑える最大のポイントは、焦らず段階的に量を増やすことです。
量の増やし方(標準スケジュール):2.5mg(4週間)→ 5mg(4週間)→ 7.5mg → 10mg → 12.5mg → 15mg(最大)。各段階を最低4週間かけて、お腹を少しずつ慣らしていきます。副作用が強い場合は増量を遅らせたり、1つ前の量に戻すことも可能です。
先ほどの2025年の解析でも、お腹の症状は量を増やしている時期に集中していました。注射の打ち方や打つ場所についてはマンジャロの使い方で、当院での処方の流れはマンジャロによる医療ダイエットで紹介しています。
マンジャロは他のダイエット薬と比べて副作用が多い?
マンジャロ・ウゴービ・リベルサスの副作用を比べてみると、以下のような傾向があります。
| 副作用 | マンジャロ 15mg | ウゴービ 2.4mg | リベルサス 14mg |
|---|---|---|---|
| 吐き気 | 約31% | 約44% | 約20% |
| 下痢 | 約23% | 約30% | 約10% |
| 便秘 | 約12% | 約24% | 約9% |
| 体調の変化(有害事象)でやめた割合 | 約6% | 約7% | 約7% |
※それぞれ別の研究のデータのため、単純な比較には注意が必要です
意外かもしれませんが、マンジャロは最も痩せる効果が高い(平均約20%減)のに、お腹の症状はウゴービより少ない傾向があります。マンジャロが持つ2つのホルモンへの作用のうち、GIPの働きがお腹の不快感を和らげている可能性があると考えられています。ウゴービの副作用についてはウゴービの副作用の記事で詳しく解説しています。
マンジャロの副作用が出たらどうする?すぐ受診すべき症状
当日中に受診してほしい症状
- お腹の上の方や背中の激しい痛みが続く、嘔吐を伴う
- 右の肋骨の下の痛みと発熱、皮膚や白目が黄色い
- 何度も吐いて水分がとれない、尿がほとんど出ない
- お腹が強く張って便もガスも出ない
- 息苦しさ、顔や喉の腫れ、全身のじんましん
次の診察で相談すればよい症状
- 軽い吐き気や胃もたれが増量のたびに出る
- 便秘が続いて食事の工夫だけでは改善しない
- 抜け毛が気になる、注射したところが赤くなる
自分でできること
注射した日と、いつ・どんな症状がどのくらい続いたかを簡単にメモしておくと、量を増やすタイミングや吐き気止め・便秘薬の必要性を医師が判断しやすくなります。そのうえで、食事を小分けにする、十分な水分を摂る、脂っこい食事を控えるといった基本の対策を続けてください。
内科医としてお伝えしたいこと
当院では糖尿病の治療でもマンジャロを使用しており、副作用に応じて増量の時期や対症療法を調整しています。
お腹の症状の多くは増量期に出やすく、食事の工夫や薬の量の調整で和らぐことが多い一方、便秘のように長引く場合もあります。お腹の症状が出た場合の吐き気止めの処方や、量を増やすペースの調整など、一人ひとりの状態に合わせた処方を行っています。
気になることがあれば、いつでもご相談ください。
マンジャロの副作用でよくある質問
- マンジャロの副作用で最も多いのは何ですか?
- 吐き気・下痢・便秘などのお腹の症状です。世界の大規模試験では吐き気が最も多く(用量により約25〜33%)、日本人を対象にした試験では便秘が最も多い結果でした。多くは軽度です。
- マンジャロの副作用のピークはいつで、いつまで続きますか?
- 量を増やしている時期に出やすく、維持する量に達してしばらくたつと新たに出る方は少なくなります。吐き気や下痢は数日〜数週間で落ち着くことが多い一方、便秘は長引くことがあるため早めの対策が大切です。
- マンジャロの副作用などで治療をやめる人はどのくらいですか?
- 世界の大規模試験では、副作用を含む体調の変化(有害事象)を理由に使用をやめた方は約4〜7%(偽薬では約3%)でした。日本人を対象にした試験では約10%(偽薬でも約7%)でした。
- マンジャロで副作用が出ないと効いていないのでしょうか?
- いいえ。試験データの解析では、吐き気などのお腹の症状があった方となかった方で、体重の減り方は同じくらいでした。副作用がなくても効果は期待できます。
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