Coffee, Tea & Brain Health
コーヒーや緑茶は認知症予防になる?
13万人を最長43年追った最新研究を内科医が解説
米ハーバード大の研究チームが、コーヒーや茶をよく飲む人ほど認知症が少ない傾向を報告(JAMA 2026年)。一方、カフェインを抜いたデカフェでは同じ関連がみられませんでした。
「コーヒーや緑茶は、認知症の予防になるのでしょうか?」──外来でもよくいただく質問です。2026年2月、この疑問に答える大規模な研究結果が、医学雑誌 JAMA に報告されました。結論から言うと、「飲む習慣がある人で認知症が少ない傾向」がみられた、という内容です。
コーヒーや緑茶を飲む人は認知症が少ないの?
米ハーバード大学の公衆衛生大学院の研究チームは、看護師や医療従事者を対象とした2つの大規模調査に参加した約13万人を、最長43年(中央値で約37年)にわたって追跡しました。その間に認知症を発症したのは約1万1千人。食事のアンケートをもとに、コーヒー・茶の飲む量と認知症の発症との関係を調べています。
その結果、カフェイン入りコーヒーや茶をよく飲むグループは、ほとんど飲まないグループに比べて、認知症になる割合が少ない傾向がみられました。
| 飲みもの | 認知症リスクの傾向 |
|---|---|
| カフェイン入りコーヒー | 約2割低い |
| 茶(緑茶・紅茶など) | 約1割(14%ほど)低い |
| デカフェ(カフェインレス)コーヒー | はっきりした関連なし |
JAMA 2026年掲載のハーバード大研究より。「リスクが低い傾向」は統計上の関連で、予防効果が証明されたものではありません。
また、本人が「最近もの忘れが増えた気がする」と感じる状態(主観的なもの忘れ)も、コーヒーをよく飲むグループでやや少なめでした。70歳以上を対象にした電話での簡単な記憶テストでも、コーヒーをよく飲む人でわずかに良い成績がみられ、研究者は「およそ半年分、頭の働きの衰えがゆっくりになった程度」と説明しています。ごくわずかな差である点には注意が必要です。
なぜカフェイン入りだけ?デカフェとの違い
興味深いのは、カフェインを抜いたデカフェコーヒーでは同じ関連がみられなかったことです。コーヒーや茶には、カフェインやポリフェノールといった成分が含まれます。研究者は、これらが脳の炎症をやわらげたり、神経の細胞を守ったりするのではないか、と推測しています。デカフェで差が出なかったことから、「カフェインそのものが関係しているのかもしれない」と考えられていますが、まだ仮説の段階です。
1日に何杯くらいがちょうどいい?
この研究で、最もリスクが低い傾向がみられた量は、カフェイン入りコーヒーで1日およそ2〜3杯、茶で1〜2杯でした。たくさん飲めば飲むほど良い、というわけではありません。むしろ飲みすぎは、不眠・動悸・不安などの原因になります。
実は、日本の研究でも似た方向の結果が出ています。国立長寿医療研究センターの調査では緑茶をよく飲む人で認知機能の低下が少なく、新潟大学の研究ではコーヒーをよく飲む人で認知症が少ない傾向が報告されています。国や食文化によって「コーヒーが目立つ」「緑茶が目立つ」と差はありますが、「日常的に飲む習慣のある人で認知症が少なめ」という大きな流れは共通しています。
医師より
「コーヒーで認知症が防げる」と聞くと飛びつきたくなりますが、これは“飲む人に認知症が少なかった”という傾向の話で、効果も大きくはありません。研究者自身も「コーヒーは脳の健康を守るパズルの一片にすぎない」と話しています。すでに楽しんで飲んでいる方は、無理のない範囲で続けるくらいの受け止め方がちょうどよいと思います。飲めない方が、わざわざ増やす必要はありません。
飲めば安心?気をつけたいこと
この研究は「観察研究」と呼ばれるタイプで、「コーヒーが認知症を防ぐ」と証明したものではありません。コーヒーをよく飲む人は、ほかの生活習慣も健康的かもしれず、その影響が混じっている可能性があります。
また、認知症の予防として国際的に重視されているのは、難聴のケア・血圧や血糖・コレステロールの管理・運動・禁煙・人とのつながりなどです。世界的な専門家チームがまとめた「対策できる要因」のリストに、コーヒーや茶は含まれていません。あくまで研究途上の一要素という位置づけです。
カフェインに敏感な方、妊娠中の方、不整脈や胃の逆流症状がある方は、量を控えめにするか、主治医にご相談ください。
まとめ
コーヒーや緑茶・紅茶を日常的に飲む習慣のある人で、認知症がやや少ない傾向がみられました。ちょうどよいのはコーヒー1日2〜3杯、茶1〜2杯ほど。ただし「飲めば防げる」わけではなく、飲みすぎは禁物です。もの忘れが気になるときは、飲みものに頼るより、まずは生活習慣の見直しと、必要に応じた相談をおすすめします。
当院では、もの忘れ・認知症のご相談にも対応しています。「最近もの忘れが増えた気がする」という段階でのご相談も歓迎です。
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ゆうしん内科クリニック(札幌市中央区南20条西16丁目2-1)
よくある質問
認知症予防のために、コーヒーを何杯飲めばいいですか?
この研究でちょうどよかったのは、コーヒー1日2〜3杯、緑茶・紅茶1日1〜2杯ほどです。ただし「飲めば防げる」という保証ではなく、たくさん飲んでも上乗せの効果はありません。飲みすぎは不眠や動悸の原因になります。今すでに楽しんでいる方は、無理のない範囲で続けるくらいの受け止め方がおすすめです。
デカフェ(カフェインレス)では意味がないのですか?
この研究では、デカフェのコーヒーには同じような関連がみられませんでした。カフェインが関係している可能性があります。ただし、睡眠や動悸、妊娠中などの理由でカフェインを控えている方が、認知症予防のために無理にカフェインを増やす必要はありません。デカフェには夜でも飲めるなど別のよさがあります。
もともとコーヒーを飲まないのですが、不利ですか?
ご安心ください。認知症のリスクを下げる方法はコーヒー以外にたくさんあります。運動・難聴のケア・血圧や血糖・コレステロールの管理・禁煙・人との交流などが重視されています。コーヒーはあくまで一要素ですので、飲めない方が心配する必要はありません。
