GLP-1受容体作動薬:ウゴービ

GLP-1受容体作動薬による肥満治療

ウゴービ・オゼンピック・トルリシティ・ビクトーザ

 

 

GLP-1受容体作動薬とは?

GLP-1受容体作動薬は、体内で自然に分泌されるホルモン「GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)」と同様の作用を持つ薬剤です。もともと2型糖尿病の治療薬として開発されましたが、その優れた食欲抑制効果と体重減少効果が注目され、現在では肥満治療の有力な選択肢となっています。

当院では、以下の4種類のGLP-1受容体作動薬を取り扱っています。

ウゴービ(セマグルチド2.4mg) 日本で唯一、肥満症治療薬として正式に承認されたGLP-1受容体作動薬です。週1回の自己注射で、平均13〜15%の体重減少が期待できます。肥満症治療に特化した高用量設計となっています。

オゼンピック(セマグルチド0.5mg/1.0mg) 糖尿病治療薬として承認されていますが、強力な体重減少効果を持つことで知られています。週1回の注射で、平均5〜6kgの体重減少が報告されています。ウゴービと同じ成分ですが、用量が異なります。

トルリシティ(デュラグルチド) 週1回の注射タイプで、針の取り付けや用量調整が不要な簡便なペン型デバイスを使用します。体重減少効果は比較的マイルドで、体重をあまり減らしたくない方や高齢の方に適しています。

ビクトーザ(リラグルチド) 1日1回の注射タイプで、最も歴史のあるGLP-1受容体作動薬の一つです。用量調整が細かくでき、副作用が比較的出にくい特徴があります。

 

GLP-1受容体作動薬の作用機序

GLP-1受容体作動薬が体重減少をもたらすメカニズムは、複数の生理的作用の組み合わせによるものです。

1. 食欲の自然な抑制

GLP-1は、食事をすると小腸から分泌されるホルモンです。このホルモンが脳の視床下部にある満腹中枢に作用すると、「お腹が満たされた」という信号が送られ、食欲が自然に抑えられます。

GLP-1受容体作動薬は、この天然のGLP-1を模倣することで、脳に直接働きかけて食欲をコントロールします。無理な我慢ではなく、生理的に「食べたくない」「少量で満足できる」という状態を作り出すのです。

2. 満腹感の持続

GLP-1は胃の運動を緩やかにし、胃から腸への食べ物の移動を遅らせる作用があります。これにより、食後の満腹感が長く続き、次の食事までの間食や過食を防ぐことができます。

3. 血糖値の安定化

GLP-1には、血糖値が高いときにインスリンの分泌を促進し、血糖値を上げるグルカゴンの分泌を抑制する作用があります。血糖値が安定することで、空腹感や食欲の急激な変動が抑えられ、食事のコントロールがしやすくなります。

4. 代謝の改善

一部のGLP-1受容体作動薬は、脂肪細胞に作用してエネルギー代謝を改善し、体脂肪の燃焼を促進する効果も報告されています。

 

各薬剤の効果実績と臨床試験結果

ウゴービの臨床試験データ

STEP1試験(国際共同試験、日本含む) 糖尿病のない肥満症患者1,961名を対象とした68週間の試験では、以下の結果が得られました。

  • ウゴービ2.4mg投与群:平均-14.9%の体重減少
  • プラセボ群:平均-2.4%の体重減少
  • 5%以上の体重減少達成率:ウゴービ群86.4% vs プラセボ群31.5%

STEP6試験(東アジア人対象、日本人を含む) 日本人を含む東アジア人584名を対象とした試験では、以下の結果が報告されました。

  • ウゴービ2.4mg群:平均-13.2%の体重減少
  • ウゴービ1.7mg群:平均-9.6%の体重減少
  • プラセボ群:平均-2.1%の体重減少

体重100kgの方であれば、平均で13.2kgの減量が期待できる計算になります。

 

オゼンピックの臨床試験データ

SUSTAIN10試験(ビクトーザとの直接比較) 2型糖尿病患者577名を対象に、オゼンピック1.0mgとビクトーザ1.2mgを30週間比較した試験では、以下の結果となりました。

  • オゼンピック群:平均-5.8kgの体重減少
  • ビクトーザ群:平均-1.9kgの体重減少

オゼンピックは、体重減少効果において既存のGLP-1受容体作動薬を大きく上回る結果を示しました。また、効果の持続性も優れており、半年以降も継続的な体重減少が確認されています。

SUSTAIN7試験(トルリシティとの比較) オゼンピック1.0mgとトルリシティ0.75mgを40週間比較した試験では、HbA1c(血糖値の指標)の低下および体重減少の両面で、オゼンピックがトルリシティを上回る結果となりました。

  • オゼンピック群:平均-2〜4kgの体重減少
  • トルリシティ群:平均-0.5kg程度の体重減少

 

日本人での比較研究

横浜市立大学から発表されたネットワークメタアナリシス(複数の臨床試験を統合解析した研究)では、日本人2型糖尿病患者におけるGLP-1製剤の効果が比較されました。

体重減少効果の順位(強い順)

  1. マンジャロ(GIP/GLP-1製剤)
  2. オゼンピック
  3. リベルサス(経口セマグルチド)
  4. ビクトーザ、トルリシティ

この研究により、同じ成分でも注射薬(オゼンピック)の方が経口薬(リベルサス)より効果が高い傾向があることも示されました。

 

トルリシティとビクトーザの特徴

トルリシティは体重減少効果が比較的マイルドですが、これは高齢の方や痩せ型の方にとってはメリットとなります。血糖コントロールを改善しながら、過度な体重減少を避けたい場合に適した選択肢です。

ビクトーザは、GLP-1受容体作動薬の中で最も歴史があり、安全性データが豊富に蓄積されています。用量を細かく調整できるため、副作用を最小限に抑えながら効果を得やすいという利点があります。

 

おすすめする方

ウゴービが適している方

  • BMI 27以上で、2つ以上の健康障害(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)を有する方
  • BMI 35以上の方
  • 大幅な体重減少(10kg以上)が必要な方
  • 従来のダイエット方法で効果が得られなかった方

オゼンピックが適している方

  • 糖尿病または糖尿病予備軍で、血糖コントロールと体重減少の両方が必要な方
  • 週1回の注射で確実な体重減少効果を求める方
  • ウゴービよりもコストを抑えたい方
  • 他のGLP-1受容体作動薬で効果が不十分だった方

トルリシティが適している方

  • 糖尿病があり、血糖コントロールが主目的だが、適度な体重管理も必要な方
  • 高齢で過度な体重減少を避けたい方
  • 痩せ型や標準体重に近く、大幅な減量が必要ない方
  • 簡便な操作性を重視する方(針の取り付け不要)

ビクトーザが適している方

  • 毎日の注射に抵抗がない方
  • 副作用が心配で、低用量から慎重に開始したい方
  • 用量を細かく調整しながら治療したい方
  • GLP-1受容体作動薬を初めて使用する方

全てに共通して使用できない方

  • 1型糖尿病の方
  • 糖尿病性ケトアシドーシスの既往がある方
  • 重度の胃腸障害のある方
  • 膵炎の既往歴がある方
  • 甲状腺髄様がんまたは多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴がある方
  • 妊娠中、妊娠希望、授乳中の方

 

使用方法と投与スケジュール

ウゴービ / オゼンピック / トルリシティ

投与頻度:週1回 投与方法:皮下注射(腹部、太もも、上腕部)

ビクトーザ

投与頻度:1日1回 投与方法:皮下注射(腹部、太もも、上腕部)

増量スケジュール:

  • 1週目:0.3mg
  • 2週目:0.6mg
  • 3週目以降:0.9mg(標準維持量)
  • 効果不十分な場合:1.2mg、1.8mgへ増量可能

1日1回、できるだけ同じ時間帯に注射します。

 

注射の共通ポイント

  • 注射部位は毎回変更する(同じ場所に続けて注射すると皮膚が硬くなる)
  • 注射前に手を洗い、清潔な状態で行う
  • 注射部位をアルコール綿で消毒する(必須ではないが推奨)
  • 使用済みの針は医療廃棄物として適切に処理する

 

副作用とその対処法

GLP-1受容体作動薬の副作用は、薬剤の種類によって若干異なりますが、主なものは消化器症状です。

主な副作用と発現頻度

消化器症状

  • 吐き気・悪心:15〜30%
  • 下痢:10〜20%
  • 便秘:10〜20%
  • 食欲減退:10〜25%
  • 嘔吐:5〜15%
  • 腹部不快感・腹痛:5〜15%

これらの症状は、特に治療開始直後や用量増量時に起こりやすく、多くの場合は2〜4週間で自然に軽減していきます。

その他の副作用

  • 頭痛:5〜10%
  • 倦怠感:5〜10%
  • めまい:3〜8%
  • 注射部位の反応(発赤、かゆみ):2〜5%
  •  

薬剤別の副作用の特徴

オゼンピック 消化器症状の発現頻度が比較的高い(約40%)傾向があります。特に吐き気が強く出る場合があるため、増量は慎重に行います。

ビクトーザ 1日1回投与のため、胃腸への作用が持続的です。開始初期に吐き気が出やすいですが、最低用量(0.3mg)から開始することで軽減できます。

トルリシティ 消化器症状の発現頻度は比較的低めですが、個人差があります。

ウゴービ 高用量のため、消化器症状はやや高頻度です(約60%)が、段階的な増量により管理可能です。

 

副作用への対処法

吐き気・嘔吐への対処

  • 少量ずつ、1日5〜6回に分けて食事を摂る
  • 脂っこい食事や刺激の強い食事を避ける
  • ゆっくりよく噛んで食べる
  • 炭酸飲料を控える
  • 症状が強い場合は制吐剤の処方を検討

下痢への対処

  • 十分な水分・電解質の補給
  • 食物繊維の多い食事を一時的に控える
  • 整腸剤の併用
  • 脱水症状に注意

便秘への対処

  • 十分な水分摂取(1日1.5〜2L以上)
  • 食物繊維を含む食事を心がける
  • 適度な運動
  • 必要に応じて緩下剤の使用
  •  

重大な副作用(まれ)

以下の症状が現れた場合は、直ちに医療機関を受診してください。

急性膵炎(0.1%未満)

  • 上腹部から背中にかけての激しい持続的な痛み
  • 吐き気、嘔吐を伴う

低血糖(他の糖尿病薬と併用時)

  • 冷や汗、手足の震え、動悸
  • 強い空腹感、脱力感
  • めまい、意識障害

急性腎障害

  • 嘔吐・下痢による脱水から発症する可能性
  • 尿量の著しい減少

アレルギー反応

  • 発疹、かゆみ
  • 呼吸困難、顔や喉の腫れ
  •  

よくあるご質問

Q: 各薬剤の効果の違いは何ですか?

A: 体重減少効果の強さは、ウゴービ(平均13〜15%減少)> オゼンピック(平均5〜6kg減少)> ビクトーザ、トルリシティ(比較的マイルド)の順です。ただし、効果には個人差があり、目的や体質に応じて最適な薬剤を選択することが重要です。

Q: 週1回と毎日1回、どちらが良いですか?

A: それぞれにメリットがあります。週1回タイプ(ウゴービ、オゼンピック、トルリシティ)は利便性が高く、週の前半は効果が強く、後半はやや弱まる傾向があります。毎日1回タイプ(ビクトーザ)は効果が安定しており、用量調整がしやすく、副作用が出にくい傾向があります。ライフスタイルに合わせて選択できます。

Q: 効果はいつから実感できますか?

A: 食欲の変化は投与開始後1〜2週間で実感される方が多いです。体重の目に見える減少は、通常8〜12週間(2〜3ヶ月)程度から始まります。オゼンピックやウゴービは半年以降も継続的な減量効果が期待できます。

Q: 薬をやめるとリバウンドしますか?

A: GLP-1受容体作動薬は、投与中止後に食欲が戻るため、体重が増加する可能性があります。しかし、治療中に健康的な食習慣や運動習慣を身につけることで、リバウンドを最小限に抑えることができます。段階的な減量・中止を医師と相談しながら計画することが重要です。

Q: 副作用の吐き気はどのくらい続きますか?

A: 吐き気などの消化器症状は、投与開始後2〜4週間がピークで、その後徐々に軽減していくことが多いです。ビクトーザの場合は初回投与時、週1回タイプは用量増量時に一時的に症状が強まることもありますが、多くの場合1〜2週間で改善します。

Q: 他の薬との併用は可能ですか?

A: 多くの薬との併用は可能ですが、インスリンやSU剤(スルホニルウレア剤)との併用時は低血糖のリスクが高まるため注意が必要です。ワルファリン(抗凝固薬)との併用では出血リスク、経口避妊薬との併用では吸収遅延の可能性があります。現在服用中の薬は必ず医師にお伝えください。

Q: 糖尿病ではないのですが使えますか?

A: ウゴービは糖尿病でなくても肥満症の要件を満たせば使用できます。オゼンピック、トルリシティは糖尿病治療薬として承認されていますが、自由診療であれば肥満治療目的での使用も可能です(医師の判断による)。ビクトーザの肥満症用製剤であるサクセンダも選択肢となります。

Q: どのGLP-1製剤を選ぶべきですか?

A: 選択基準は以下の通りです。

  • 大幅な減量が必要→ウゴービまたはオゼンピック
  • 糖尿病がある→オゼンピック、トルリシティ、ビクトーザ
  • 週1回の利便性を重視→ウゴービ、オゼンピック、トルリシティ
  • 副作用が心配→ビクトーザ(低用量から調整可能)
  • 過度な減量を避けたい→トルリシティ

医師が患者さんの状態、目的、ライフスタイルを総合的に判断して最適な薬剤を提案します。

Q: 注射は痛いですか?

A: いずれの薬剤も非常に細い針(29〜32ゲージ)を使用しており、痛みは最小限です。多くの方が「思ったより痛くない」「採血の方が痛い」と感じられています。注射が不安な方は、初回に医療スタッフが丁寧に指導しますのでご安心ください。

Q: 治療費はどのくらいかかりますか?

A: 肥満治療目的の使用は基本的に自由診療となります。費用は薬剤の種類、用量、治療期間によって異なります。一般的に、週1回タイプの方が月あたりのコストは高くなる傾向があります。詳しくは診察時にご説明いたします。

 

治療を始める前に

GLP-1受容体作動薬は、それぞれに特徴があり、患者さんの状態や目的に応じて最適な選択が異なります。大幅な減量が必要な方にはウゴービやオゼンピック、糖尿病管理が主目的の方にはトルリシティやビクトーザ、副作用が心配な方には低用量から調整できるビクトーザなど、一人ひとりに合わせた治療計画を立案します。

当院では、詳細な診察と検査を通じて、あなたに最適なGLP-1受容体作動薬を提案し、定期的なフォローアップを通じて安全で効果的な減量をサポートいたします。

 

初診時に必要なもの

  • マイナンバーカード/写真付き身分証明書(自由診療ですが、身分確認のため)
  • お薬手帳(服用中の薬がある方)

■料金

 

 料金(税込)
ウゴービ皮下注MD 0.25mg 2本(=8回分)32,000円
ウゴービ皮下注MD 0.5mg 2本(=8回分)48,000円
ウゴービ皮下注MD 1.0mg 2本(=8回分)72,000円
ウゴービ皮下注MD 1.7mg 2本(=8回分)88,000円
ウゴービ皮下注MD 2.4mg 2本(=8回分)120,000円

※製品の性質上、返品は一切不可です。ご了承ください。
※現在、ウゴービSDが製造中止となったため、1本で4回分のMDのみとなります。
1本で1回分の注射をご希望の方にはマンジャロにて代替させていただきます

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