糖尿病Q&A

糖尿病の予備知識

血糖値とは
「血糖」とは血液中に含まれるブドウ糖のことで、その量を表しているのが「血糖値」です。食物から得られた糖質は、胃や小腸で分解されて「ブドウ糖」になリます。ブドウ糖は小腸から吸収された後、血液によって肝臓に運ばれ、グリコーゲンとして蓄えられます。
必要に応じてブドウ糖に換えられて血液中に放出され、全身に行きわたります。筋肉などでブドウ糖はエネルギー源として利用され、余った場合は脂肪として蓄えられます。

インスリンとは
「インスリン」とは、体内で唯一血糖値を下げる働きをするホルモンです。食後に血中のブドウ糖が増えると、それに見合った量のインスリンが膵臓から分泌され、プドウ糖を肝臓や筋肉、脂肪組織に送り込んで、血糖値を正常な状態に下げます。また、プドウ糖を脂肪やグリコーゲンに換えてエネルギー源として蓄える働きなどもしています。

 

Q.高血糖はなぜ怖いの?

A.糖が全身の血管を傷つけるからです
健康な人の場合、食後に上昇した血糖値はインスリンの働きにより徐々に下がっていきます。しかし、インスリンが十分に分泌されなかったり働きが悪くなったりすると、血液中のブドウ糖を肝臓や筋肉などの細胞に送り出せなくなるため、血液中にはブドウ糖が増え続け、高血糖状態に。この事態に対応しようと膵臓はインスリンを多く出そうとして、次第に疲弊していきます。そしてインスリンを分泌する機能が衰えるという、悪循環を引き起こします。
血液中に糖が増え過ぎると、全身の血管に負担がかかり、目、腎臓、末梢神経などの病気や、動脈硬化による心臓や脳の病気を併発していきます。
高血糖が動脈硬化につながるのは、糖が血管の内側を傷つける原因となる活性酸素の発生を促すからです。傷ついた血管の内膜の中にコレステロールなどがたまり、血管壁が厚く硬くなることで、動脈硬化が進んでいきます。
糖尿病の怖さは全身の血管が傷つけられることにより、様々な組織での障害を招くことにあります。

 

Q.糖尿病はどんな症状が出るの?

A.のどが渇く、尿の量が増えるなど
糖尿病が怖いのは、初期段階では自覚症状がない、またはあっても軽いものである点です。知らぬ問に糖尿病が進行し、気づいた時には命にかかわる危険な状態になっていることが少なくありません。ですから、体が発するわずかなSOSサインを見逃さないことが大切です。高血糖による症状には次のようなものがあります。
●血液中に過剰にあるブドウ糖を排泄するため、尿の量が増え、体の水分が不足してのどが渇く。
●エネルギーが減るため、食べてもお腹が空き、体重が減っていく。全身のだるさがある。
また、糖尿病が進行している場合の危険信号としては、次のようなものがあります。
●尿にタンパクが出る。
●脚がむくむ。
●目の網膜の血管が高血糖で傷つくことにより、出血する。
●末梢神経が侵されるため、足の裏が砂に触れているような感じや、しびれが起こる。
●自律神経が障害され、立ちくらみ、勃起障害などが起こる。

 

Q.糖尿病はどんな人がかかりやすいの?

A.食べ過ぎ、運動不足、ストレス過多の人など
糖尿病は病気の起こり方によって、主に「1型糖尿病」、「2型糖尿病」の2種類に分類されます。日本人の糖尿病全体の9割以上を占めるのが「2型糖尿病」で、その発症の誘因としては、次のようなものがあります。

肥満……肥満になると内臓脂肪が増え、脂肪細胞から分泌される生理活性物質がインスリンの働きを低下させる。
過食……血液中のブドウ糖が急激に増える。膵臓はインスリンを懸命に出すが、高血糖状態が続くと弱っていく。
ストレス……ストレスを受けると、アドレナリンなど血糖値を上げるホルモンが分泌される。
遺伝……家系に糖尿病患者がいる人は、糖尿病を発症する確率が高い。
加齢……筋肉でのエネルギー消費量が低下したり、インスリンの分泌量が低下する。
運動不足……筋肉や肝臓に脂肪がたまると、インスリンの働きが悪くなる。

 

Q.どんな検査をすれば、糖尿病かどうか分かるの?

A.血液検査を行い血糖値を測定します
糖尿病のシグナルは見過ごしやすいので、検査による早期発見が重要です。
まずは、主に2つの血液検査を行います。
空腹時血糖値検査……検査前10時間は何も食べないで、翌朝に血糖値を測る。健康診断などで一般的に行われる検査方法。
ブドウ糖負荷試験……早朝採血(検査前に10時間以上絶食)後に、75グラムのブドウ糖を飲用し、30分後、1時間後、2時間後に血糖値を測定。通常の健康診断では行わないが、一般の医療機関で検査可能。
空腹時血糖値が126mg/dL以上、ブドウ糖負荷2時間血糖値や随時血糖値が200mg/dL以上、HbA1c6.5%以上の場合は糖尿病型と判断されます。空腹時血糖値が110mg/dL以下、ブドウ糖負荷2時間血糖値が140mg/dL以下の場合は正常型。糖尿病型に分類されなくても正常型より明らかに高い数値を境界型と呼びます。
また、これら以外にも進行の段階によって、血中のインスリンの量や尿中の糖分やタンパク質の量を測る検査を行います。

 

Q.やや高めの数値でも治療は必要?

A.正常値の範囲内でも高めの数値は要注意
2008年6月、日本糖尿病学会によって、空腹時血糖値の正常型の中に、「正常高値」という区分が設けられました。これは、空腹時血糖値が100~109mg/dLの人の25~45パーセントは、ブドウ糖負荷2時問血糖値が境界型や糖尿病型に属していることから、”正常値内でも安心しない”という警鐘を鳴らす目的で設けられたものです。正常高値の段階で生活習慣を改めれば、糖尿病の発症を防ぐことができますが、ここで「まだ大丈夫」と見過ごしてしまうと、異常値として指摘される頃には、糖尿病は目前です。
日常的には、3年前のズボンやスカートがきつくなっていないか、下腹部が出てきていないかを目安にしましょう。また、腹部肥満、脂質異常症、高血圧、高血糖など、動脈硬化の危険性が重なり合った状態をメタボリックシンドロームといい、それぞれの危険因子は他の危険因子を招きやすい特徴があります。現在は正常高値でも、健康診断で高血圧や脂質異常、ウエスト周囲径を指摘された人も要注意です。

 

Q.血糖値コントロールの一目標は?

A.血糖値検査で正常値の範囲を目標に
合併症の予防や進行を遅らせるためには、血糖をコントロールすることが必要です。血糖正常化を目指す時の指標としては、低血糖や体重の増加なしに空腹時血糖値110mg/dL未満、食後2時間血糖値140nmg/dL未満、HbA1c 6.0パーセント未満の基準値が目安です。中でもHbA1cの数値は、食事の時問や量に左右されないため、治療上の主な基準となります。
高血糖の人は、まずは7.0パーセント未満を目指しましょう。また、コントロール状態を見るため、初めのうちは1力月に1回はHbA1c検査を受けることが望ましいのです。

安定した血糖状態が分かる「HbA1c検査」
HbA1c(グリコヘモグロビン)は、赤血球のタンパク質であるヘモグロビンに糖(グルコース)が結合したものの一種です。 採血2力月前から採血時までの平均的な血糖状態が分かります。食事の坦や時間に左右されずに、血糖状態が示されるので、血糖コントロールがよいかどうかを知る重要な指標になっています。

 

Q.食事に気をつけることが大事なのはなぜ?

A.食ベ過き、偏食が血糖値を上昇させます
血糖値は、毎日の食事の摂り方に大きく左右されます。まず、食べ過ぎは、糖尿病のリスクを明らかに高めます。必要以上に食べると、血液中のブドウ糖が急増し、膵臓は血糖値を下げるためにインスリンを大量に分泌します。この状態が続くと、インスリンの分泌機能が低下することから、慢性的に血糖値が下がりにくい状態になります。
次に、栄養のバランスも重要です。特に糖尿病のリスクになる動物性脂肪を控えると共に、食物繊維を積極的に摂るようにしましよう。食物繊維は野菜や海藻類の他、胚芽米や玄米、そばなど、精製度の低い食物にも多く含まれています。
食物繊維は消化されにくいため、炭水化物と一緒に食べた場合、小腸でのブドウ糖吸収を抑える効果があります。トウモロコシのでんぷん由来の「難消化性デキストリン」という成分は、特定保健用食品(トクホ)に含まれる食物繊維としても注目されています。食事のサポートとして、トクホを上手に活用するのもよいでしょう。

 

Q.食事以外のケア方法は?

A.定期的な運動と糖尿病の正しい理解
糖尿病のケアとして運動がすすめられるのは、運動をするとエネルギーが消費され、血糖が低下するからです。その作用は通常、運動後もしばらく続きます。血糖値は食事を開始してから1~2時間後にピークを迎えるので、食後1時間の時点で運動をすれば、食後血糖値を抑えることができます。
運動はウォーキングなどの「有酸素運動」がおすすめです。1回30分以上(10分x3回でも可)、1週間のうち3日以上行うことを目標にしましょう。また、筋肉がつけば「基礎代謝」が高まり、日常生活で自然とカロリーが消費されます。ウォーキングにプラスして、ダンべルや腹筋・背筋運動などで筋肉を鍛えると、常に筋肉で糖が代謝されやすい体質をつくることができます。
糖尿病は、軽症の時期から治療を始めることが大切です。定期健診などで糖尿病の可能性を指摘されたら、必ず早めに病院で検査を受けましょう。そして、本人はもちろん、家族も一緒に糖尿病に対する正しい知識を持つことが、糖尿病を克服する第一歩になります。

 

Q.どのような薬物療法があるの?

A.「内服薬」や「インスリン注射」など
糖尿病の治療の基本は食事療法と運動療法です。しかし、それだけでは血糖値がうまくコントロールできない場合は、薬物療法を追加します。薬物療法では、「内服薬」や「インスリン注射」が行われます。内服薬は、薬の作用する働きによって、次のような種類に分けられます。

食後高血糖改善薬……小腸に作用して、ブドウ糖の吸収を遅らせて、食後の血糖値上昇を穏やかにする。
インスリン分泌促進薬……脾臓に作用し、インスリンの分泌を促す。
インスリン抵抗性改善薬……肝臓や筋肉、脂肪組織に作用して、インスリンを効きやすくする。
インクレチン関連薬……インスリンの分泌を促進するインクレチンの働きを強める(DPP-4阻害薬
SGLT-2阻害薬……腎臓での糖の再吸収を阻害して血糖値を下げる他、体重減少等の効果が期待されている。

インスリン注射は、不足したインスリンを体外から補う治療法です。主に、内服薬だけでは血糖値を十分コントロールできない場合や、早期に糖毒性を取る場合、腎臓や肝臓に持病があって内服薬が使いづらい場合などに使われます。

 

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