LATEST EVIDENCE 2026
コレステロールは”もっと下げる”が正解だった
心臓病・脳卒中の再発を33%減らした最新研究
アジア人3,048人のRCT(EZ-PAVE試験)が示した、LDL-C 55mg/dL未満の優越性
心臓病や脳卒中を一度経験した方は、「再発させない」ことが最大の治療目標です。
コレステロール(LDL-C)を「70以下」にしているから大丈夫と思っていませんか?
2026年3月、「55以下を目指した方が再発が33%少ない」ことを、アジア人で直接比べた大規模試験が証明しました。
コレステロールの目標値は、なぜ引き下げられてきたのか
以前は「LDL-Cを100mg/dL以下に」という時代がありました。その後、研究が積み重なるにつれ目標は厳しくなり、現在の国際ガイドラインでは心臓病・脳卒中の既往がある方に「55mg/dL未満」を推奨しています。
ただし、この目標は「スタチン(コレステロールを下げる薬)が有効か」を調べた試験のデータが根拠でした。「70未満」と「55未満」を直接ランダムに比べた試験は、これまでほとんどありませんでした。
今回の試験(EZ-PAVE)について
韓国の17の病院で、心臓病・脳卒中を経験した患者さん3,048人を2グループに分けて、3年間追跡しました。一方はLDL-C 70未満を目標に、もう一方は55未満を目標に治療。どちらの方が「再発しにくいか」を公平に比べた試験です。
※アジア人を対象にした、この規模のランダム化比較試験は初めてです。2026年3月、世界最高峰の医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に掲載されました。
結果:55未満を目指すと、再発リスクが3割以上減った
3年間の心血管イベント(心筋梗塞・脳卒中・血行再建術など)発生率
従来目標グループ
LDL < 70 mg/dL
9.7%
100人中 約10人が再発
強化目標グループ
LDL < 55 mg/dL
6.6%
100人中 約7人が再発
N Engl J Med 2026年3月28日オンライン版
心筋梗塞の再発はほぼ半分に
心筋梗塞だけに絞ると、発生率は1.7% → 0.8%とほぼ半減。ステントの再留置などが必要になった割合も7.5% → 4.8%に減りました。どちらも統計的に意味のある差です。
「下げすぎ」で体に悪くないの?
コレステロールを下げすぎると「筋肉が痛む」「肝臓に悪い」「糖尿病になる」と心配される方がいます。今回の試験ではそれらを詳しく調べましたが、両グループに差はありませんでした。
| 心配な副作用 | 結果 |
|---|---|
| 糖尿病の新規発症 | 差なし |
| 血糖コントロール悪化 | 差なし |
| 筋肉の痛み・障害 | 差なし |
| 肝機能・筋酵素の上昇 | 差なし |
| がん・白内障 | 差なし |
| 腎機能への影響 | むしろ強化群で良好 |
「下げすぎ」のリスクより、「下げることで防げる再発」のメリットの方がずっと大きい——今回の試験はそれを明確に示しました。
当院でのLDL-C管理について
当院では心臓病・脳卒中の既往がある方に対して、LDL-Cの個別目標値を設定し、定期的な採血で達成状況を確認しています。スタチン単独で目標に届かない場合は、エゼチミブ(コレステロールの吸収を抑える薬)の併用を検討します。
今回のEZ-PAVE試験の結果は、当院がすでに実践している「より積極的なLDL-C管理」を強く支持するものです。現在の治療内容や目標値について疑問がある方は、診察時にお気軽にご相談ください。
→ 脂質異常症の診療について(詳細ページ)
→ LDLを下げる薬(スタチン・エゼチミブ)について

