高血圧の薬の種類・選び方と減薬の可能性|札幌|ゆうしん内科クリニック

MEDICATION GUIDE

高血圧の薬の種類・選び方と
減薬の可能性

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MAIN ANTIHYPERTENSIVES

JSH2025で定められた高血圧の主要降圧薬5種類(G1降圧薬)

2025年8月に発刊された最新のガイドライン「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」では、単剤でも脳心血管病の抑制効果が示されている5種類の降圧薬を「主要降圧薬(グループ1=G1降圧薬)」と位置づけています。前版(JSH2019)では第一選択から外れていたβ遮断薬が、今回G1に復帰したことも注目される改訂点です。

① カルシウム拮抗薬(CCB)|最も広く使われる降圧薬

カルシウム拮抗薬は、血管の平滑筋細胞にカルシウムイオンが流入するのをブロックし、血管を拡張させて血圧を下げる薬です。代表的な薬にはアムロジピン(ノルバスク/アムロジン)やニフェジピン(アダラート)があります。効果が安定しており、幅広い患者さんに使いやすいことから、日本では第一選択として最もよく処方される降圧薬のひとつです。当院でもまずカルシウム拮抗薬から開始することが多く、副作用としては足のむくみや歯肉の腫れが起こることがありますが、長時間作用型を選択することで発生頻度を抑えることができます。

② ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)|臓器保護効果も期待

ARBは、血圧を上げるホルモン「アンジオテンシンII」の作用をブロックする薬です。代表的な薬にはテルミサルタン(ミカルディス)、バルサルタン(ディオバン)などがあります。降圧効果に加えて、心臓や腎臓への保護効果が認められており、糖尿病や慢性腎臓病を合併している患者さんに特に有用です。咳の副作用が少ないことも特長で、ACE阻害薬で空咳が出た方の代替薬としてもよく使われます。当院ではカルシウム拮抗薬だけで降圧が不十分な場合にARBを追加することが多い処方パターンです。

③ ACE阻害薬|心不全にも有効な降圧薬

ACE阻害薬は、アンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへの変換を阻害して血圧を下げます。代表的な薬にはエナラプリル(レニベース)やリシノプリル(ゼストリル)があります。心不全の予後改善効果が確立されており、心機能が低下している患者さんには特に有用です。副作用として空咳が出ることがあり、その場合はARBに切り替えることで対応します。

④ サイアザイド系利尿薬|少量で確実な降圧効果

利尿薬は、腎臓でのナトリウム(塩分)と水分の再吸収を抑えることで体液量を減らし、血圧を下げる薬です。代表的な薬にはヒドロクロロチアジドやインダパミドがあります。少量で使用することがポイントで、大量に使うと電解質異常(低カリウム血症など)や尿酸値の上昇といった副作用が出やすくなります。当院ではカルシウム拮抗薬+ARBの2剤で目標に達しない場合に3剤目として追加することが多い薬です。痛風を合併している方には尿酸値の上昇に注意しながら使用します。

⑤ β遮断薬|JSH2025で主要降圧薬に復帰

β遮断薬は、心臓のβ受容体をブロックして心拍数と心臓の収縮力を抑え、血圧を下げる薬です。JSH2019では糖尿病や高齢者への懸念から第一選択から外されていましたが、JSH2025ではビソプロロール(メインテート)やカルベジロール(アーチスト)など有用性と安全性が確立された薬剤に限って、主要降圧薬(G1)に復帰しました。頻脈を伴う高血圧や心不全を合併している方に特に有効です。

COMBINATION THERAPY

降圧薬の合剤(配合剤)で服薬数を減らす高血圧治療

JSH2025では、単剤で降圧目標に到達しない場合は速やかに2剤、さらには3剤への併用を検討することが推奨されています。しかし薬の数が増えると、飲み忘れが増え、治療の継続率(アドヒアランス)が低下することが知られています。

そこで当院では、2つの有効成分を1錠にまとめた合剤(配合剤)を積極的に活用しています。たとえばカルシウム拮抗薬のアムロジピンとARBのテルミサルタンの合剤や、ARBと利尿薬の合剤などがあり、2錠飲むところを1錠で済ませることができます。服薬の負担が減ると、患者さんの治療への満足度も高まり、長期的な血圧コントロールの改善につながります。

「今飲んでいる薬が多くて大変」「もっとシンプルにしたい」というご相談は、当院でよくお受けしているものです。転院して合剤に切り替えることで、薬の数を減らしながら同等以上の降圧効果を維持できるケースも少なくありません。

REDUCING MEDICATION

降圧薬は一生飲み続ける?|減薬・中止が可能になる条件

「血圧の薬を飲み始めたら一生やめられない」──これは外来でとてもよく聞かれる質問であり、そして多くの方が治療開始をためらう最大の理由です。

まず明確にしておきたいのは、降圧薬には依存性は一切ないということです。睡眠薬のように「やめられない体」になることはありません。薬をやめれば、単に薬を飲む前の血圧に戻るだけです。

では、降圧薬を減らしたり中止したりすることは可能なのでしょうか?答えは「条件次第でイエス」です。生活習慣の改善──具体的には減塩、減量、定期的な運動──に積極的に取り組んだ結果、血圧が十分にコントロールされている場合、医師の判断で段階的に薬を減量し、場合によっては中止できることがあります。

ただし、現実的には加齢とともに血管は硬くなっていくため、多くの方は長期にわたって服薬を続けることになります。大切なのは、「薬を飲む=病気に負けた」と考えるのではなく、「将来の脳卒中や心筋梗塞を防ぐための予防策」と前向きに捉えることです。

減薬・中止が検討される条件

家庭血圧が安定して目標値(125/75mmHg未満)を維持している方で、減塩・運動・減量などの生活習慣改善が持続できている場合、また糖尿病や慢性腎臓病などのリスク因子がコントロールされている場合に、医師の管理下で段階的に検討します。薬の減量後も定期的に血圧測定を続け、上昇があればすぐに再開できる体制が前提です。

⚠ 自己判断での服薬中止は絶対にしないでください

「血圧が下がったからもう大丈夫」と自分で判断して突然薬をやめると、血圧がリバウンドして急上昇し、脳出血や心筋梗塞を引き起こすことがあります。薬の調整は必ず医師と相談のうえ行ってください。

FAQ

高血圧の薬に関するよくある質問

Q. 降圧薬を飲み始めたら一生やめられなくなりますか?

降圧薬に依存性はありません。やめても「やめられない体」になるわけではなく、元の血圧に戻るだけです。生活習慣の改善によって血圧が安定すれば、医師の判断で減薬や中止が可能な場合もあります。ただし、加齢による血管の硬化は避けられないため、多くの方は長期的に服薬を続けることになるのも事実です。大切なのは自己判断で中止せず、必ず主治医と相談することです。

Q. 降圧薬にはどんな副作用がありますか?

薬の種類によって異なります。カルシウム拮抗薬は足のむくみや歯肉の腫れ、ACE阻害薬は空咳、利尿薬は電解質異常や尿酸値の上昇、β遮断薬は徐脈や倦怠感が代表的です。ただし、降圧薬は種類が非常に豊富なので、合わない場合は別の薬に切り替えることで副作用を回避できることがほとんどです。気になる症状があれば遠慮なくご相談ください。

Q. 血圧の薬が多すぎて飲むのが大変です。減らせますか?

2つの成分を1錠にまとめた合剤(配合剤)に切り替えることで、服薬数を減らしながら同等の降圧効果を維持できる場合があります。たとえばカルシウム拮抗薬とARBの合剤、ARBと利尿薬の合剤など多くの選択肢があります。「薬が多い」というお悩みはぜひ一度ご相談ください。

Q. JSH2025でβ遮断薬が復帰したとはどういう意味ですか?

前回のガイドライン(JSH2019)では、β遮断薬は糖尿病の発症リスクや高齢者への適用に関する懸念から第一選択薬には含まれていませんでした。しかし、JSH2025では、ビソプロロールやカルベジロールなど有効性と安全性のエビデンスが確立された特定のβ遮断薬について、主要降圧薬(G1)としての位置づけが回復しました。心不全や頻脈を伴う高血圧の方には特に有用な選択肢です。

Q. 降圧薬を飲んでいても生活習慣の改善は必要ですか?

はい、必要です。降圧薬は血圧を下げますが、高血圧の原因そのもの(塩分過多・運動不足・肥満など)を治す薬ではありません。薬と生活習慣改善を両立させることで、より確実に目標血圧に到達でき、将来的に薬を減らせる可能性も高まります。逆に薬に頼りきりで生活を変えなければ、薬の量が増え、他の生活習慣病も併発していくリスクがあります。

Q. オンライン診療でも降圧薬の処方は受けられますか?

はい、当院ではオンライン診療でも降圧薬の処方を行っています。家庭血圧の記録をもとに治療方針を確認し、処方箋を発行します。処方された薬は全国の薬局でマイナンバーカードを使って受け取ることができます。ただし、初診時の血液検査や定期的な採血は来院(または近医での検査)が必要です。詳しくはオンライン診療の流れをご覧ください。

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