高尿酸血症・痛風の診断と検査|尿検査でタイプを判別してから治療を始める

ホーム 痛風・高尿酸血症 診断と検査

DIAGNOSIS

高尿酸血症・痛風の診断と検査|
尿検査でタイプを判別してから治療を始める

血液検査・尿検査・エコー——当院が全例で行う検査の流れと意味

高尿酸血症・痛風の治療でなぜ「尿検査」が必要か

高尿酸血症・痛風の治療において、多くの医療機関で見落とされている重要なステップがあります。それが「どのタイプの高尿酸血症か」を調べることです。

高尿酸血症には大きく2つのタイプがあります。「生成過剰型」(体内での尿酸産生が過剰)と「排泄低下型」(腎臓からの尿酸排泄が低下)です。この2つは有効な薬が異なります。生成過剰型にはフェブキソスタット・アロプリノールなどの産生抑制薬が、排泄低下型にはベンズブロマロン・ドチヌラドなどの排泄促進薬が適しています。

ところが、タイプを判別するには尿検査が必要です。血液検査だけでは尿酸値の数値はわかりますが、そのタイプは判断できません。尿検査を行わずにフェブキソスタット(生成過剰型向け)を処方するケースが多く見られますが、排泄低下型の患者さんには効果が限定的で、「薬を飲んでいるのに尿酸値が下がらない」という状況が続きます。

当院の方針:全例に尿検査を実施してからタイプを判別

投薬を開始する前に必ず尿検査(尿中尿酸・クレアチニン測定)を行い、尿酸排泄率(FEuric acid)を計算します。この値をもとに生成過剰型・排泄低下型・混合型を判別し、その方に最適な薬剤を選択します。

「薬を飲んでいるのに下がらない」という方が当院で尿検査を受けると排泄低下型と判明し、薬を変更したところ尿酸値がしっかり下がった、という経緯をたどる方が少なくありません。

尿酸排泄率(FEuric acid)の測定

尿酸のタイプ判別には「尿酸排泄率(FEuric acid)」を用います。

計算式

FEuric acid = (尿中尿酸 × 血清クレアチニン) ÷ (血清尿酸 × 尿中クレアチニン) × 100(%)

7%未満

排泄低下型

全体の約60〜65%(最多)

7〜12%

混合型

全体の約25%

12%以上

生成過剰型

全体の約10〜15%

※数値は目安です。食事や時間帯の影響を受けるため、臨床的判断と組み合わせて評価します。

痛風・高尿酸血症で当院が行う検査一覧

① 血液検査

痛風・高尿酸血症の診断に必須の検査です。尿酸値だけでなく、治療薬の選択や安全性評価に必要な臓器機能も同時に確認します。

検査項目 正常値の目安 確認する目的
血清尿酸値男性7.0以下、女性6.0以下 mg/dL診断・治療目標の確認
クレアチニン・eGFReGFR 60以上腎機能評価・薬剤用量調節
肝機能(AST・ALT・γ-GTP)施設基準値内薬剤使用の安全性確認
脂質(LDL・HDL・中性脂肪)合併する脂質異常症の評価
血糖・HbA1c合併する糖尿病の評価
CBC(血球算定)炎症状態・貧血の確認

② 尿検査(タイプ判別に必須)

タイプ判別のための最重要検査です。外来で当日実施可能です。

  • 尿中尿酸濃度の測定
  • 尿中クレアチニン濃度の測定
  • 血清クレアチニンと合わせて尿酸排泄率(FEuric acid)を算出
  • 生成過剰型・排泄低下型・混合型の判別
  • 尿pH(酸性が強いと尿路結石リスクが高まる)の確認

③ 超音波検査(エコー)

痛風が疑われる関節(足の親指・足首・膝など)の超音波検査を全例で実施します。エコーは関節内の尿酸塩結晶の沈着状態を視覚的に確認できる有用な検査で、発作のない間欠期でも評価が可能です。

エコーで確認できる主な所見

🔊 ダブルコンター所見

軟骨表面に尿酸塩結晶が沈着することで、エコー画像上で軟骨の輪郭が二重に見える所見。痛風に特徴的で、診断感度・特異度ともに高い。

🔊 トファス(痛風結節)

長期の高尿酸血症で形成される尿酸塩の固まり。エコーで高輝度の不均一な腫瘤として描出される。

🔊 関節滑膜炎所見

滑膜の肥厚・血流増加・関節液の貯留など急性・慢性炎症の状態を評価できる。

診断基準と治療目標値

高尿酸血症の診断基準

日本痛風・尿酸核酸学会のガイドライン(第3版)では、血清尿酸値 7.0 mg/dL超を高尿酸血症と定義しています。これは尿酸の生理的溶解度の上限に基づく値です。

7.0

mg/dL 超

高尿酸血症の診断基準

6.0

mg/dL 以下

通常の治療目標値

5.0

mg/dL 以下

結節・腎障害例の目標値

出典:日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」第3版(2019年)

治療目標値6.0の根拠

なぜ6.0 mg/dL以下が目標なのかには、科学的な根拠があります。尿酸の溶解度は体温(37℃)環境下で約6.8 mg/dLですが、関節液(体温より低い)では約6.0 mg/dLです。尿酸値を6.0以下に保つことで、すでに沈着した結晶が徐々に溶解・消退し、新たな結晶沈着が防がれます。

無症候性高尿酸血症——症状がなくても治療が必要なケース

尿酸値が高くても痛風発作を起こしたことがない「無症候性高尿酸血症」の方は多くいます。この場合、すぐに薬物療法が必要かどうかは状況によって異なりますが、以下に該当する場合は治療を積極的に検討します。

  • 尿酸値が8.0 mg/dL以上(特に9.0以上は積極的治療の適応)
  • 慢性腎臓病(CKD)を合併している
  • 尿路結石の既往または現在合併中
  • 高血圧・糖尿病・脂質異常症など複数の生活習慣病を合併
  • 心血管疾患(狭心症・心筋梗塞・脳卒中等)の既往がある

これらに該当しない場合でも、尿酸値が高い状態は身体への負担が蓄積していますので、生活習慣の見直しと定期的な経過観察を行います。

痛風・高尿酸血症の検査に関するよくある質問

Q. 尿検査はどんな方法で行いますか?痛みはありますか?

採尿コップに尿を採取するだけです。痛みは一切ありません。外来当日に実施し、血液検査と同時に処理します。

Q. 他院で血液検査を受けたことがあります。そのデータを持参すれば検査を省略できますか?

血液検査データはご持参いただければ参考にしますが、尿酸のタイプ判別には尿検査が別途必要です。血液検査データを持参いただくことで検査項目を一部省略できる場合はありますが、尿検査と当院での採血は初回原則として行います。

Q. 健診で尿酸値が7.5でした。自覚症状はありません。すぐに受診すべきですか?

7.0超は高尿酸血症の診断基準を満たしており、7.5はすでに高い値です。自覚症状がなくても腎臓への負担や将来的な発作リスクがありますので、一度受診して腎機能・尿酸タイプ・合併症の有無を確認することをお勧めします。すぐに薬物療法が必要かどうかは、検査結果を踏まえて判断します。

Q. 発作の最中に受診しても検査はできますか?

発作中でも血液検査は行います。ただし急性発作中は炎症の影響で尿酸値が一時的に低下することがあります(尿酸が関節内に移行するため)。発作中は炎症を鎮めることを優先し、尿酸降下療法の開始や変更は発作収束後に行います。

ご予約|ゆうしん内科クリニック

平日はご予約優先(当日来院も可)。土曜完全予約制。

011-552-7000 ゆうしん内科クリニック(札幌市中央区)