高血圧を下げる生活習慣|減塩・運動・食事を札幌の内科医が解説|ゆうしん内科クリニック

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SALT REDUCTION

高血圧の減塩対策|パンの「隠れ塩分」と1日6g未満の実践法

JSH2025において、減塩は生活習慣改善の最重要項目として位置づけられています。目標は1日6g未満。しかし日本人の平均塩分摂取量は約10gであり、目標値の約1.7倍を摂取しているのが現状です。高所得国の中で日本の高血圧有病率が最も不良な背景には、この塩分過剰摂取があるとされています。

減塩というと醤油や味噌を減らすことを思い浮かべる方が多いのですが、実はそれだけでは不十分です。ここで注意してほしいのが「隠れ塩分」──塩味を感じないのに塩分が多い食品の存在です。

その代表がパンです。6枚切りの食パン1枚には約0.8gの食塩が含まれています。これは醤油小さじ1杯とほぼ同じ量です。パンを食べても塩味は感じませんが、生地の発酵やコシを出すために食塩が使われています。フランスパン2切れで約1g、クロワッサン1個で約0.7gの塩分が含まれます。

朝食にパン・バター・ハム・スープの組み合わせで食べると、塩分は約3gに達します。1日6gの目標から考えると、朝食だけで半分を使い切ってしまう計算です。一方、白米や玄米は塩分ゼロです。パンをご飯に置き換えるだけでも、相当な減塩効果が期待できます。

日常のちょっとした減塩テクニック

朝食のパンをご飯に置き換える(塩分0.8g減)。味噌汁は具だくさんにして汁を減らす。漬物・練り製品・ハムなど加工品の量を意識して減らす。食卓に醤油や塩を常備しない。レモン・酢・香辛料・だしを活用して味付けに変化をつける。外食やコンビニ弁当では栄養成分表示の「食塩相当量」を確認する習慣をつける。

JSH2025で新たに強調されたカリウム摂取と塩分バランス

JSH2025では、単に塩分を減らすだけでなく、カリウムを積極的に摂取することの重要性が新たに強調されました。カリウムにはナトリウム(塩分)の排泄を促す作用があり、野菜・果物・海藻・豆類に多く含まれます。「尿中ナトリウム/カリウム比」という新しい指標も紹介されており、塩分とカリウムのバランスを見る考え方が広まりつつあります。ただし腎臓病をお持ちの方はカリウムの過剰摂取に注意が必要ですので、医師に相談してください。

EXERCISE THERAPY

有酸素運動で血管を柔らかく|高血圧に対する運動療法の効果

有酸素運動が高血圧の改善に有効であることは、多くの研究で実証されています。メタ解析(複数の臨床研究を統合した分析)では、中強度の有酸素運動を週3回以上行うと、収縮期血圧が平均5〜7mmHg低下するという結果が示されています。3剤以上の降圧薬を服用している治療抵抗性の高血圧でも、8〜12週間の有酸素運動で拡張期血圧が有意に低下したという報告もあります。

有酸素運動が血圧を下げるメカニズムは複数あります。最も重要なのは、運動によって血流が増加すると、血管内皮細胞から一酸化窒素(NO)が産生されることです。NOは強力な血管拡張物質であり、血管の平滑筋を弛緩させてしなやかにします。定期的な運動習慣によりNOの産生能力が高まり、長期的に血管の柔軟性が向上することがわかっています。産業技術総合研究所の10年間の追跡調査では、習慣的に有酸素運動を行う人は、そうでない人に比べて加齢による動脈硬化の進行が3分の1以下だったという結果が報告されています。

しかし、ここで知っておいていただきたい重要なことがあります。いったん動脈硬化が進行し、血管壁が石灰化してしまうと、もう元の柔らかい状態には戻らないということです。動脈硬化は不可逆的な変化です。運動で改善できるのは、まだ柔軟性が残っている段階の血管に対してです。だからこそ、「まだ大丈夫」と先延ばしにせず、今のうちから運動を始めることが大切なのです。

JSH2025が推奨する運動の目安

有酸素運動:ウォーキング・速歩・水泳・サイクリングなどを中強度(「楽である」〜「ややきつい」程度)で、1日30分以上、週に4〜5日が理想。まずは週3回からでも効果はあります。

筋力トレーニング:JSH2025では週2〜3回の筋トレも血圧コントロールに有効とされています。スクワット・腕立て伏せなど自重トレーニングでも十分です。ただし息を止めて力むような激しい無酸素運動は血圧を急上昇させるため避けてください。

WEIGHT & ALCOHOL

体重管理と節酒が高血圧に与える影響

肥満は高血圧の重要な危険因子です。体重が増えると循環血液量が増加し、心臓の負担が大きくなり、血圧が上昇します。BMI 25未満を目安に適正体重を維持することが推奨されています。体重を3〜5kg減量するだけで、収縮期血圧が5〜10mmHg程度低下するケースも少なくありません。

また、飲酒も血圧に影響します。アルコールは飲酒直後には一時的に血管を拡張させて血圧を下げますが、習慣的な大量飲酒は長期的に血圧を上昇させることがわかっています。節酒の目安としては、日本酒なら1日1合以内、ビールなら中びん1本以内に抑えることが推奨されています。

当院では、高血圧と肥満を併せ持つ方に対して、降圧治療と体重管理を組み合わせた包括的なアプローチを行っています。GLP-1受容体作動薬による体重管理プログラムも提供しておりますので、ご関心のある方はお気軽にご相談ください。

▶ 降圧薬の種類と選び方についてはこちら

FAQ

高血圧の生活習慣改善に関するよくある質問

Q. パンをやめればそれだけで血圧は下がりますか?

パンを完全にやめる必要はありませんが、毎朝パン食の方がご飯に切り替えるだけで1食あたり0.8g前後の減塩になります。他の減塩と組み合わせることで、全体的な塩分摂取量を効果的に下げることができます。減塩パンを活用するのも一つの方法です。

Q. ウォーキングはどのくらいの速さで歩けばよいですか?

「ややきつい」と感じる程度の速歩が理想です。隣の人と会話ができるくらいの余裕がありつつ、少し息が弾む程度が目安です。普通のゆったり歩きでは心拍数が十分に上がらないことがあるため、意識的にペースを上げてみてください。

Q. 動脈硬化が進んでしまった場合、運動しても意味がないのですか?

意味はあります。石灰化してしまった部分を元に戻すことは困難ですが、運動にはそれ以上の進行を遅らせる効果、心肺機能の維持、体重管理、血糖や脂質の改善など多くのメリットがあります。どの段階からでも運動を始める価値はあります。

Q. 減塩しても血圧が下がらないことはありますか?

個人差があり、塩分に対する血圧の反応性(食塩感受性)は人によって異なります。減塩だけで十分に血圧が下がらない方もいますが、減塩は降圧薬の効果を高める作用もあるため、薬を服用中の方にも減塩は重要です。当院では尿検査による1日塩分摂取量の推定も行えますので、自分がどの程度塩分を摂っているか客観的に知りたい方はご相談ください。

Q. 生活習慣の改善だけで薬を飲まずに済む可能性はありますか?

軽度の高血圧(Ⅰ度:140〜159/90〜99mmHg)で、他のリスク因子が少ない場合は、まず1〜3ヶ月間の生活習慣改善で経過を観察し、目標に到達すれば薬物療法なしで管理できることがあります。ただし高リスクの方や血圧が高い方は、生活習慣改善と並行して早期に薬物療法を開始することがJSH2025で推奨されています。

高血圧の生活習慣改善のご相談|札幌来院・全国オンライン対応

減塩や運動の具体的なアドバイス、薬と生活習慣改善の組み合わせ方など、一人ひとりに合わせた指導を行っています。

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