LDLより正確?ApoBとApoAで見る本当の動脈硬化リスク

Apolipoprotein B & A

LDLより正確?ApoBとApoAで見る本当の動脈硬化リスク

コレステロール値が正常でも心筋梗塞になる人がいる理由を、アポリポタンパクが教えてくれます。

LDLが正常でも、なぜ心筋梗塞になるのか

健康診断でLDL(悪玉コレステロール)が基準値内なのに、動脈硬化が進んでいたり、心筋梗塞を起こしたりする方がいます。これは「LDL-Cという数値の限界」によるものです。

LDL-Cは血液中の悪玉コレステロールの量(重さ)を測っています。しかし、動脈硬化を起こすのはコレステロールの量ではなく、粒子の数です。粒子が小さくて軽い「小型LDL」が多い人は、LDL-Cが普通でも粒子数が多く、リスクが高くなります。

ここで登場するのがApoB(アポリポタンパクB)です。

ApoB:悪玉粒子を1個ずつカウントする指標

ApoB(アポリポタンパクB)は、LDL・VLDL・IDL・Lp(a)などすべての動脈硬化性リポタンパク粒子の表面に1個だけ存在するタンパク質です。

つまり、ApoB = 動脈硬化を起こしうる粒子の総数といえます。コレステロールの重さではなく、血管壁に突き刺さる「弾の数」を数えるイメージです。

ApoBとLDL-Cの違いのイメージ

Aさん:LDL-C 110 mg/dL、ApoB 110 mg/dL → リスク高(粒子が多い)
Bさん:LDL-C 110 mg/dL、ApoB 70 mg/dL → リスク低(粒子が大きく少ない)

同じLDL-Cでも、ApoBが違えばリスクが大きく異なります。

ApoA:善玉の「掃除力」を示す指標

ApoA(アポリポタンパクA)は、HDL(善玉コレステロール)の主成分です。血管壁に溜まったコレステロールを引き抜いて肝臓に運ぶ「逆輸送」を担う、いわば動脈の掃除屋です。

ApoAが高いほど心臓病リスクが低くなることがわかっています。HDL-Cが基準値内でも、ApoA-Iが少なければ掃除力が足りていない可能性があります。

ApoB/ApoA比:最も強力な心臓病リスク指標のひとつ

「悪玉粒子数(ApoB)÷ 善玉力(ApoA)」で計算されるApoB/ApoA-I比は、心筋梗塞リスク予測の精度が高く、INTERHEART研究などの大規模試験でその有用性が示されています。スタチン治療の効果判定にも使われています。

指標一般的な目標値高リスク者の目標
ApoB90 mg/dL 未満70 mg/dL 未満
ApoA-I120 mg/dL 以上なるべく高く
ApoB/ApoA-I比男性 0.9未満 / 女性 0.8未満0.7未満を目指す

※各施設の基準値や患者さんの状態によって異なります。担当医にご確認ください。

日本でも保険適用で測れます

ApoB・ApoA-I・ApoA-IIはいずれも保険適用の血液検査です。通常の脂質検査(LDL、HDL、中性脂肪)と同時に採血でき、追加の負担はほとんどありません。気になる方は次回の受診時にお申し出ください。

こんな方に特にお勧めです

  • LDLは基準値内だが、健診で動脈硬化を指摘された
  • 中性脂肪が高く、HDLが低め(メタボ体型)
  • スタチンを飲んでいるが、もっとリスクを下げたい
  • 家族に若くして心筋梗塞を起こした人がいる
  • 糖尿病・高血圧を合併している
院長のひとこと
LDLが140を切っているのに「なんか心配」という患者さんに、ApoBを測ると納得感が出ることが多いです。特に中性脂肪が高めで小型LDLが疑われる方、スタチンを使っているのに動脈硬化が進む方に、追加で測ることをお勧めしています。数字ひとつで安心できることもあれば、逆に治療を強化するきっかけになることもあります。

脂質異常症の治療・検査について詳しくは脂質異常症・コレステロールのページもご覧ください。

脂質の検査・治療のご相談

ApoB・ApoA-I検査、スタチン調整など、お気軽にご相談ください。

011-552-7000(ゆうしん内科クリニック)
オンライン予約はこちら(平日:予約優先 / 土曜:完全予約制)

よくある質問

ApoBは健診では測れないのですか?

多くの自治体健診の標準セットには含まれていませんが、医療機関で追加オーダーすれば保険適用で測定できます。「脂質検査のついでに測りたい」とお申し出ください。

ApoBを下げるにはどうすればいいですか?

スタチン(コレステロール低下薬)が最も効果的です。また、飽和脂肪酸を減らした食事・有酸素運動・禁煙も有効です。体重を5〜10%減らすだけでApoBが明らかに改善することが多いです。

ApoA-Iを上げる方法はありますか?

有酸素運動・禁煙・節酒が最も効果的です。薬では、フィブラート系薬がApoA-Iを上昇させることがあります。残念ながら、ApoA-Iを劇的に上げる薬はまだ実用化されていません。