1. マンジャロとは
マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、2023年に日本で承認された肥満・2型糖尿病治療薬です。世界で初めて「GIP/GLP-1受容体デュアルアゴニスト」として承認された点が最大の特徴で、従来のGLP-1単独薬(リベルサス・オゼンピック等)を上回る体重減少効果が臨床試験で証明されています。
週に1回の皮下注射で済むため、毎日服薬が必要な経口薬と比べて継続しやすく、多忙な方にも向いています。
同じ成分(チルゼパチド)ですが、マンジャロは糖尿病治療薬として、ゼップバウンドは肥満症治療薬として承認されています。効果・副作用に本質的な差はありません。当院では両方を取り扱っています。
2. 作用機序:なぜ体重が減るのか
マンジャロが高い減量効果を発揮する理由は、食後に小腸から分泌される2つのホルモン「GIP」と「GLP-1」の受容体に同時に作用することにあります。
GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の作用
- 血糖値が高いときにインスリン分泌を促進
- 血糖値を上げるグルカゴンの分泌を抑制
- 胃の排出を遅らせて食後の満腹感を持続
- 脳の食欲中枢に働きかけ、自然に食欲を抑制
GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)の作用
- インスリン分泌をさらに強力に促進
- 脂肪代謝を調整し、エネルギー消費を改善
体重が減る4つのメカニズム
- 食欲の自然な抑制:「空腹を感じにくい・少量で満足できる」状態を作り出す。意志力に頼らない食事量の自然な減少。
- 満腹感の持続:胃の排出速度を遅らせることで食後の満腹感が長続きし、間食・過食を防ぐ。
- 脂肪代謝の改善:GIPの作用により脂肪蓄積が抑制され、エネルギー代謝が向上。
- 血糖値の安定化:血糖の急激な変動が抑えられ、空腹感のムラが減少。
3. 臨床試験データ:SURMOUNT-1試験
マンジャロの効果の根拠となっているのが、世界規模で実施されたSURMOUNT-1試験です。
試験の概要
- 対象:2型糖尿病を合併しない肥満(BMI 30以上)または過体重(BMI 27以上+健康障害)の成人 2,539名
- 期間:72週間(約1年半)
- 方法:食事制限(-500kcal/日)+運動(週150分以上)をベースに、週1回マンジャロ(5mg / 10mg / 15mg)またはプラセボを投与。二重盲検比較試験。
- 出典:N Engl J Med. 2022;387(3):205-216
平均体重減少率(72週後)
- マンジャロ 15mg群:平均 -20.9%
- マンジャロ 10mg群:平均 -19.5%
- マンジャロ 5mg群:平均 -15.0%
- プラセボ群:平均 -3.1%
※従来の肥満治療薬の平均は約5〜15%。減量手術(バリアトリック手術)の効果(25〜30%)に迫る数値。
目標達成割合(15mg群 vs プラセボ)
| 目標達成ライン | マンジャロ 15mg群 | プラセボ群 |
|---|---|---|
| 5%以上の減量 | 91% | 35% |
| 10%以上の減量 | 79% | 17% |
| 20%以上の減量 | 57% | 3% |
体重以外の健康指標の改善(15mg群)
- 腹囲:平均 -18.5cm(プラセボは-4cm)
- 血圧:収縮期・拡張期ともに有意な低下
- 中性脂肪:有意な低下
- HDLコレステロール(善玉):有意な上昇
- 血糖管理:糖尿病予備軍の多くが正常血糖域に改善
内科医の立場から特に注目すべきは、体重が減ることで血圧・血糖・脂質といった生活習慣病の指標が同時に改善される点です。「痩せる」ことは単なる見た目の変化ではなく、将来の心筋梗塞・脳卒中リスクの低減につながります。
4. 日本人での実績
日本人2型糖尿病患者を対象とした国内第III相臨床試験(52週間)では、以下の体重減少が確認されています。
| 用量 | 平均体重減少量 |
|---|---|
| 5mg | 平均 -7.6kg |
| 10mg | 平均 -9.3kg |
| 15mg | 平均 -11.2kg |
多くの方が投与開始後1〜2週間で食欲の変化を実感し、体重の目に見える減少は12〜16週(3〜4ヶ月)程度から現れます。
札幌・全国オンライン診療でマンジャロを処方しています
料金・予約はこちら5. 副作用と対処法
副作用の多くは消化器症状で、投与開始後2〜4週間がピークとなり、その後体が慣れるにつれて軽減していきます。
主な副作用(国内臨床試験報告頻度)
| 症状 | 頻度 |
|---|---|
| 吐き気(悪心) | 12〜20% |
| 便秘 | 14〜18% |
| 食欲減退 | 13〜22% |
| 下痢 | 9〜17% |
| 嘔吐 | 5〜12% |
| 腹部不快感 | 5〜10% |
対処法
吐き気・嘔吐
- 少量ずつ頻回に食事をとる
- 脂っこい食事・刺激の強い食事を避ける
- ゆっくり食べる・こまめな水分補給
- 症状が強い場合は制吐剤の処方も可能
下痢
- 十分な水分・電解質の補給
- 食物繊維の多い食事を一時的に控える
- 整腸剤の併用が有効な場合も
便秘
- 十分な水分摂取・食物繊維を含む食事
- 適度な運動
- 必要に応じて緩下剤を使用
まれだが重要な副作用
- 急性膵炎(頻度0.1%未満):上腹部〜背中への激しい持続的な痛み・吐き気
- 急性腎障害:嘔吐・下痢による脱水から発症。尿量の著しい減少に注意。
- 重度の低血糖:インスリン・SU剤併用時のみリスクあり。冷や汗・震え・動悸。
- アレルギー反応:発疹・かゆみ・呼吸困難・顔や喉の腫れ。
6. 使用方法・増量スケジュール・保管
投与方法
週1回、ご自身で皮下注射します。「アテオス」というペン型デバイスに薬剤が充填されており、操作は簡単です。針は非常に細く痛みは最小限。
タイミング:毎週同じ曜日・同じ時間帯が理想。食事のタイミングは問いません。
注意:毎回同じ場所に打つと皮膚が硬くなるため、部位を毎回ローテーションしてください。
標準的な増量スケジュール
| 期間 | 用量 | 目的 |
|---|---|---|
| 1〜4週目 | 2.5mg | 消化器への慣らし |
| 5〜8週目 | 5.0mg | 効果が出始める用量 |
| 9〜12週目 | 7.5mg | 増量 |
| 13〜16週目 | 10mg | 増量 |
| 17〜20週目 | 12.5mg | 増量 |
| 21週目以降 | 15mg | 維持用量(最大) |
※副作用の状況や体重減少の進み具合によって、医師の判断で増量ペースを調整します。
保管方法
- 未使用のペン:冷蔵庫(2〜8℃)で保管
- 凍結させないこと
- 直射日光を避けること
- 使用開始後は室温保管可(製品の指示に従う)
7. 使用できない方・注意が必要な方
- 1型糖尿病の方
- 糖尿病性ケトアシドーシスの既往がある方
- 膵炎の既往歴がある方
- 重度の胃腸障害がある方
- 甲状腺髄様がんまたは多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2)の家族歴がある方
- 妊娠中・妊娠を希望している方・授乳中の方(投与中止から少なくとも2ヶ月は避妊が必要)
- BMI 23未満の方(安全性が十分に確認されていません)
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ゆうしん内科のマンジャロ処方ページへ監修:ゆうしん内科クリニック 院長
2001年医学部卒業。消化器疾患を中心に臨床経験を積み、2015年に札幌市中央区にて開院。肥満治療・GLP-1受容体作動薬による医療ダイエットを専門的に行っている。

