マンジャロ・ウゴービ中の抜け毛を防ぐ食事と栄養管理の具体的な方法

Nutrition Guide for GLP-1 Users

マンジャロ・ウゴービ中の
抜け毛を防ぐ食事と栄養管理

何を・どのくらい・食欲がないときはどうする? 具体的な方法をまとめました

これまでの3本の記事で「マンジャロ・ウゴービで抜け毛が起きる主な原因は急激なカロリー・栄養不足」という話をしました。

では、具体的に「何をどうすればいいのか」。今回はその実践編です。難しいことは省いて、今日から使える情報に絞ります。

食欲が落ちるほど栄養不足リスクが上がるという逆説

マンジャロやウゴービを使うと、食欲が大きく落ちます。これは薬の効果でもあるのですが、問題は「食べる量が減れば減るほど、栄養素も一緒に減る」ことです。

カロリーだけなら問題ありませんが、タンパク質・鉄・亜鉛といった毛根に必要な栄養素まで減ってしまいます。「食欲がないからラッキー」ではなく、「食欲がないからこそ意識して摂らなければならない」——これが最初に理解してほしいポイントです。

重要:ウゴービの研究では「体重が20%以上落ちた人は脱毛が起きやすい」というデータがあります。たくさん落としたいほど食べる量を減らしがちですが、それが脱毛リスクを上げることになります。

最優先:タンパク質をしっかり摂る

栄養素の中で最も優先すべきはタンパク質です。理由はシンプルで、髪の主成分(ケラチン)はタンパク質でできているからです。材料が足りなければ、体は毛根のケラチン生産を後回しにします。

目安の量

体重1kgあたり1.2〜1.6gが目標(減量中は通常より多めに必要です)

体重 1日の目標量
50kg 60〜80g
60kg 72〜96g
70kg 84〜112g
80kg 96〜128g

タンパク質が多い食品(食欲がないときでも食べやすいもの中心)

🥚

1個あたり約6g。消化がよく食欲がなくても食べやすい

スクランブルエッグ・温泉卵・茶碗蒸しなど、やわらかい調理法で。朝の食欲がなくても卵1〜2個なら食べられることが多いです。

🐟

魚(特に白身魚・缶詰)

100gあたり約18〜22g。消化がよく脂が少ない

サバ缶・ツナ缶は手軽で鉄も摂れます。食欲がないときはそのまま食べるだけでもOKです。

🫘

豆腐・納豆・大豆製品

消化がよく少量でも食べやすい

絹豆腐なら固形物が苦手なときでも食べやすいです。納豆は亜鉛も豊富。

血液検査で確認すべき栄養素

タンパク質は食事で管理できますが、以下の栄養素は「食べているつもりでも不足していることがある」ため、定期的な血液検査での確認が有効です。

血液検査でチェックしてほしい項目

栄養素 何のために必要か 注意が必要な値の目安
フェリチン(鉄の貯蔵量) 毛根への酸素運搬。貧血になる前から毛根が影響を受ける 30ng/mL以下で要注意(脱毛との関連が報告されている)
亜鉛 毛根細胞の分裂・修復に必須 血清亜鉛 80µg/dL以下で要注意
葉酸 細胞分裂のサポート。減量手術後の脱毛との関連が報告 4ng/mL以下で要注意
ビタミンD 毛包の成長サイクルへの関与が研究されている 20ng/mL以下で不足

「貧血ではない」と言われていても、フェリチン(鉄の貯蔵庫)が低いだけで脱毛リスクが上がることがあります。通常の血液検査ではフェリチンを測らないことも多いため、「フェリチンも測ってほしい」と主治医に伝えることをお勧めします。

鉄分が多い食品

  • レバー(豚・鶏)——一番多い。週1〜2回で十分
  • 赤身の牛肉・マグロ——ヘム鉄(吸収率が高い)
  • 小松菜・ほうれん草——ビタミンCと一緒に食べると吸収がよくなる
  • サバ缶・イワシ缶——手軽で続けやすい

亜鉛が多い食品

  • 牡蠣——断トツで多い。食欲がなければ缶詰でも
  • 赤身の牛肉・豚肉
  • 納豆・豆腐
  • カシューナッツ・アーモンド

食欲がないときの現実的な工夫

「分かってはいるけど、食欲がなくて食べられない」——これが一番のリアルな悩みです。

🥇

「タンパク質ファースト」ルールを作る
何か食べるときは、最初にタンパク質(卵・豆腐・魚)を口にする。ご飯やパンは後回し。少量しか食べられないなら、カロリーより栄養素を優先する発想です。

🥤

プロテインドリンクを活用する
固形物が食べられないときは、プロテインドリンク(ホエイプロテインなど)で補うことができます。1杯で約20gのタンパク質が摂れます。ただし食事の代わりではなく、補助として使ってください。

1回の量を減らして回数を増やす
3食まとめて食べられないなら、5〜6回に分けてもOKです。「食事」という概念を外して、「補給」として考えると気が楽になります。

🌡️

温かいものの方が食べやすいことが多い
スープ・味噌汁に豆腐・卵・魚を溶き入れると、少量でもタンパク質が摂れます。具だくさんの汁物は食欲がないときの強い味方です。

サプリメントの正直な評価

「髪にいいサプリ」はたくさんありますが、何でも効くわけではありません。正直にお伝えします。

サプリメント 効果の根拠 コメント
鉄剤(フェリチン低値の場合) あり 不足していれば補充する意義がある。血液検査で確認してから使うこと
亜鉛(血清亜鉛低値の場合) あり 不足していれば補充する意義がある。過剰摂取は逆効果なので検査前提で
ビオチン(ビタミンB7) なし(今回のケースでは) ビオチン欠乏症には効くが、急激な減量による一時的な脱毛への効果は研究で確認されていない。使用するなら主治医に相談を
コラーゲン・ケラチンサプリ 根拠なし 「飲んだコラーゲンが髪に届く」という根拠はない。お金の無駄になる可能性が高い
ビタミンD(低値の場合) 研究途上 毛包との関係は研究されているが、補充で脱毛が減るという確定的なデータはまだない。ただし不足している場合は補充する価値あり

大原則:サプリメントは「不足を補う」ものです。不足していないのに大量に摂っても効果はなく、過剰摂取で逆効果になる場合もあります(特に鉄・亜鉛)。血液検査で確認してから使うことを強くお勧めします。

医師のひとこと:「早く結果を出したい」が最大のリスク

患者さんから「もっと早く痩せたい」というご希望をよくいただきます。その気持ちはよく分かります。ただ、医師として伝えたいことがひとつあります。

急げば急ぐほど、栄養が足りなくなり、脱毛・生理不順・疲れやすさといった「体からのSOS」が出やすくなります。

目標体重に早く到達しても、抜け毛が増えたり体調が崩れたりすれば、結果的に「続けられなかった」ことになりかねません。ゆっくり確実に、栄養を確保しながら減らす——これが長い目で見たときに最も効率的です。

当院では、体重だけでなく栄養状態もモニタリングしながら減量を進めています。気になることがあればいつでもご相談ください。

この記事のまとめ

  • 食欲が落ちるほど栄養不足になりやすい——「食べなくていい」ではなく「意識して摂らなければならない」
  • 最優先はタンパク質。体重1kgあたり1.2〜1.6gを目標に(体重60kgなら1日72〜96g)
  • フェリチン(鉄の貯蔵量)・亜鉛を定期的に血液検査でチェックする
  • ビオチンサプリは今回のタイプの脱毛には効果の根拠がない。サプリは血液検査で不足を確認してから使う
  • 食欲がないときは「タンパク質ファースト」「回数を分ける」「温かい汁物を活用する」
  • 急がないこと自体が最大の予防策

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