糖尿病の治療(食事・運動・薬)|目標値と薬の選び方

ゆうしん内科クリニック 糖尿病外来

糖尿病の治療
食事・運動・薬物療法をガイドライン準拠で解説

糖尿病治療の目標は、合併症を防ぎながら
「糖尿病のない人と変わらない生活の質(QOL)を実現すること」です。

平日:予約優先(当日受診も可)/ 土曜:完全予約制

糖尿病治療の目標値(ガイドライン準拠)

当院では糖尿病標準診療マニュアル2026(日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会)および糖尿病診療ガイドライン2024(日本糖尿病学会)に基づき、以下の目標値を基本として診療を行います。ただし、目標値は年齢・合併症・低血糖リスクなどを考慮して患者さんごとに個別化します。

管理項目 目標値 補足
HbA1c 7.0%未満 個人差あり。低血糖リスクが高い場合は緩めに設定
空腹時血糖値 130mg/dL未満 薬の種類・量の調整に利用
血圧 130/80mmHg未満 腎症・心血管疾患予防のため厳格な管理が重要
LDLコレステロール 120mg/dL未満 冠動脈疾患合併例は100mg/dL未満
体重(BMI 25以上の場合) 5%以上の減量 血糖・血圧・脂質の改善に有効

食事療法

食事療法は糖尿病治療の根幹です。「何を食べてはいけないか」より「全体的な食生活をどう整えるか」が重要です。以下はガイドライン準拠の基本方針です。

エネルギー摂取量の適正化

BMI 25以上の方は体重の5%以上の減量が推奨されています(マニュアル2026準拠)。ただし、高齢者ではフレイル予防の観点から過度な制限は逆効果となる場合があります。個人の状態に応じた指導が必要です。

炭水化物・糖質について

短期的(6〜12ヶ月以内)な炭水化物制限は血糖コントロールに有効とされています(ガイドライン2024)。ただし長期的な有効性・安全性については十分なエビデンスがなく、極端な糖質制限を長期間継続することは推奨されていません。白米・白パン・菓子類・砂糖入り飲料を控えることが現実的なアプローチです。

食べ方のコツ

  • 野菜から先に食べる(ベジファースト):血糖値の急上昇を抑える効果があります
  • 三食規則正しく:欠食は後の食事での血糖急上昇(血糖スパイク)を招きます
  • ゆっくりよく噛む:満腹感を得やすく、食後の血糖上昇が緩やかになります
  • 夜遅い食事を避ける:夜間の高血糖は血管へのダメージが大きいとされています
  • アルコールは適量に:過度な飲酒は血糖管理を乱します。飲む場合は医師に相談を

運動療法

運動は血糖降下薬に匹敵する効果を持ちます。特に食後の運動は血糖スパイクを抑えるのに効果的です。

ガイドライン推奨の運動量(マニュアル2026準拠)

  • 歩行:1回15〜30分・1日2回(1日の歩数約8,000〜9,000歩)・週3日以上
  • 筋力トレーニング(スクワット・腕立て伏せ等)も有効。有酸素運動との組み合わせで相加効果あり
  • 日常生活での座位時間を短くし、1時間に1回は立ち上がって軽く動くことを推奨

ただし、空腹時血糖250mg/dL以上・尿ケトン体陽性・眼底出血・心疾患・重症の自律神経障害などがある場合は運動を控える必要があります。運動を始める前に医師への確認が必要です。

薬物療法:2型糖尿病の治療ステップ

食事・運動療法で血糖が改善しない場合、薬物療法を開始します。2型糖尿病の治療薬は複数のクラスがあり、ガイドラインでは以下のステップに従った選択が推奨されています(糖尿病標準診療マニュアル2026)。

治療ステップ(ガイドライン準拠)

1

食事・運動療法(まず数ヶ月試みる)

生活習慣の改善を基本とし、3〜6ヶ月で効果を評価します。

2

第一選択:ビグアナイド薬(メトホルミン)

低血糖リスクが低く、体重増加が少ない。心血管疾患リスク低下のエビデンスあり(UKPDS)。腎機能に応じて用量調整が必要。eGFR 30未満では禁忌。

3

第二選択(追加):SGLT2阻害薬 または DPP-4阻害薬 または GLP-1受容体作動薬(経口)

SGLT2阻害薬は心血管疾患・心不全・慢性腎臓病の合併がある場合に積極的に使用。体重減少効果もあり。尿路感染症・脱水に注意。
GLP-1受容体作動薬(経口)は心血管疾患・肥満合併時に積極的に選択。体重減少効果が顕著。

4+

さらなる追加・強化(専門医との連携)

HbA1c 9.0%以上が持続する場合はインスリン治療を積極的に検討。注射薬(GLP-1受容体作動薬注射・GIP/GLP-1デュアルアゴニスト)への変更も考慮。専門医への紹介タイミングを医師が判断します。

「インスリン=末期」という誤解について

インスリン注射が始まると「病気が悪化した」と感じる方がいますが、これは誤解です。インスリンは血糖を管理するための効果的な手段であり、適切なタイミングで開始することで膵臓の負担を減らし、合併症リスクを下げることができます。経口薬とインスリンを適切に組み合わせることが、長期的な健康維持につながります。

生活習慣改善のその他のポイント

  • 禁煙:喫煙は血管障害・合併症リスクを大幅に高めます。禁煙外来と連携してサポートします
  • 口腔ケア・歯周病管理:歯周病は血糖コントロールを悪化させる双方向の関係があります。定期的な歯科受診をお勧めします
  • フットケア:糖尿病足病変は神経障害・血流障害から始まります。毎日足を確認し、異常があれば受診してください
  • ワクチン接種:インフルエンザ・肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されています。感染症は血糖管理を著しく乱します
  • 十分な睡眠:睡眠不足はインスリン抵抗性を増悪させます

よくあるご質問

Q. 糖質制限は本当に効果がありますか?

短期間(6〜12ヶ月)の炭水化物制限は血糖コントロールの改善に有効とされています(ガイドライン2024)。ただし、長期的に継続することが困難な方も多く、腎臓病・脂質異常症などがある場合は注意が必要です。極端な糖質制限(ケトジェニックダイエット等)は医師の管理下でなければリスクがあります。「控えめに減らす」程度から始めることをお勧めします。

Q. 糖尿病の薬を飲むと依存しますか?やめられなくなりますか?

依存性はありません。糖尿病の薬は血糖値を調整するための医薬品であり、習慣性・依存性はありません。ただし、糖尿病は体質的な疾患であるため、薬をやめると血糖値が再び上昇することがあります。薬の減量・中止は必ず医師の指示のもとで行ってください。自己判断で中止すると血糖が急激に悪化することがあります。

Q. 血糖値が安定したら薬をやめてもいいですか?

血糖値が安定しても、自己判断で薬をやめるのは危険です。「安定しているのは薬のおかげ」である場合が多く、やめると再び悪化することがあります。ただし、体重減少や食事・運動の改善で血糖が十分に改善した場合は、医師の判断で減量・中止を検討することがあります。必ず医師と相談してください。

Q. 低血糖になったらどうすればいいですか?

低血糖(血糖値70mg/dL以下、または典型的な症状あり)が出た場合は、ブドウ糖(グルコース)または砂糖10〜20gをすぐに摂取してください。α-グルコシダーゼ阻害薬を使用中の方はブドウ糖のみが有効です(砂糖では不可)。重症低血糖(意識障害)が一度でも起きたらすぐに受診してください。日頃から低血糖に備えてブドウ糖を携帯することをお勧めします。

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〒064-0920 札幌市中央区南20条西16丁目2-1
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