Bee Venom Allergy & Epinephrine Prescription
蜂が怖い外仕事・山仕事の方へ
エピペン処方は検査なしでも可能です
春から秋にかけて蜂の活動が活発になる北海道で、外仕事に従事する方のアナフィラキシー対策を内科医が解説します。
Hokkaido Risk
北海道の蜂シーズン──外仕事をする人が一番危ない
「蜂が出てきた」という声が増えるのは、北海道では4〜5月ごろからです。スズメバチの女王蜂が越冬から目覚め、巣作りを始めるこの時期から、山林・農地・造園・建設現場など屋外での作業リスクが高まります。特にスズメバチが攻撃的になる8〜10月の秋は最も注意が必要で、刺傷による救急搬送もこの時期に集中します。
林業・農業・造園・外構工事・電気工事・配送など、屋外で働く方は一般の方よりはるかに多く蜂と接触する機会があります。日本では年間20〜30人が蜂刺されによるアナフィラキシーで亡くなっており、その多くが屋外作業中です(厚生労働省人口動態統計)。
北海道で注意すべき主な蜂
オオスズメバチ:最も毒量が多く危険。秋に攻撃性が増す
コガタスズメバチ:軒下・茂みに巣を作り気づきにくい
アシナガバチ:比較的穏やかだが毒は持つ。IgE感作の原因に
ミツバチ:巣を刺激すると集団で刺す。毒針が残る
Why It’s Dangerous
1回目は大丈夫でも、2回目が命取り──アナフィラキシーの仕組み
蜂に初めて刺されたとき、身体は蜂毒に対する抗体(IgE抗体)を作ります。この段階では症状は軽いか、ほとんど出ません。ところが2回目以降に刺されると、すでに作られていた抗体が蜂毒と反応して全身性のアレルギー反応(アナフィラキシー)を引き起こすことがあります。
アナフィラキシーは数分〜30分以内に蕁麻疹・呼吸困難・血圧低下・意識消失などが同時に進行する緊急事態です。外仕事中に起きると、救急車が到着するまでの時間(山間部では30分以上かかることも)が命取りになります。
「去年は蜂に刺されても何ともなかった」は危ない
無症状だったのは初回感作の可能性があります。今シーズンの刺傷でアナフィラキシーが起きることは十分ありえます。
Emergency Treatment
エピペン®・ネフィー®とは──救急車が来るまでの時間を稼ぐ薬
エピペン®(自己注射薬)とネフィー®(点鼻薬)は、アナフィラキシーが起きたとき自分で使えるアドレナリン製剤です。アドレナリンは血管の収縮・気管の拡張・血圧の回復に働き、症状の進行を止めます。
どちらも処方医登録を受けた医師だけが処方できる薬で、使用法のトレーニングが必要です。当院は両製剤の処方に対応しています。
エピペン®(自己注射)
太ももに押し当てて注射。衣服の上からでも使用可。外仕事や山での使用に適している。体重30kg以上に0.3mgを処方。
ネフィー®(点鼻)
鼻に噴霧するタイプ。注射が苦手な方に選択肢。外仕事・山での携帯にも対応。2023年から保険処方可能。
Key Message
外仕事・山仕事の方は、検査なしでもエピペンを処方できます
多くの方が「アレルギー検査で陽性が出ないと処方してもらえない」と思い込んでいますが、そうではありません。
蜂に頻繁に接触するリスクの高い仕事に従事している方は、過去のアナフィラキシー歴がなくても、また検査を受けなくても、医師の判断により処方が可能です。
当院で処方できる主なケース
林業・造園・農業・外構工事など、蜂と日常的に接触する職種の方
過去に蜂刺されで蕁麻疹・息苦しさなどの症状が出たことがある方
アナフィラキシーの既往がある方(原因を問わない)
山での活動(登山・トレッキング・釣りなど)を定期的に行う方
処方できるかどうかは受診時に状況をお聞きした上で判断します。「自分は処方してもらえるか?」と思ったら、まずご相談ください。来院・オンライン診療どちらでも初回から対応します。
Optional Testing
蜂毒IgE検査もできます──「感作されているか確認したい方」へ
「実際に蜂毒アレルギーがあるか調べてから処方してほしい」という方には、蜂毒特異的IgE抗体検査(採血)を保険で行えます。同日に採血・結果確認・処方まで対応可能です。
IgE検査が陽性(蜂毒に感作されている)の場合、2回目以降の刺傷でアナフィラキシーが起きるリスクは確実に高まります。ただし、陰性でも重症の反応が起きることはあり、外仕事のリスクが高い方には検査結果にかかわらず備えを推奨しています。
Doctor’s Note
医師からひとこと
毎年この時期になると、「仕事で山に入るからエピペンが欲しい」という相談が来院・オンラインを問わず増えます。以前刺されたとき何でもなかった、検査が面倒、大病院に行く時間がない──そういう理由で備えないままにしている方が多いのが実情です。
北海道の山や田畑での仕事は、アナフィラキシーが起きても救急車がすぐに来られない環境です。エピペン®・ネフィー®は手元にあって初めて意味を持ちます。検査の有無にかかわらず、リスクのある職業の方には積極的に処方・指導する方針で対応しています。「大げさかな」と思わずに来てください。
FAQ
よくある質問
Q. 仕事で山に入るだけで処方してもらえますか?アナフィラキシーになったことはありません。
はい、可能です。蜂に頻繁に接触する職業・環境にある方は、アナフィラキシーの既往がなくても処方の対象となりえます。受診時にお仕事の内容と蜂との接触状況をお聞かせください。
Q. エピペンを処方してもらうためには、アレルギー科や皮膚科を受診しないといけませんか?
いいえ。当院のような内科クリニックでも、処方医登録を受けた医師がいれば処方できます。専門科への紹介が必要な場合はその旨お伝えします。
Q. オンライン診療でも処方できますか?
初回は来院をお勧めしていますが、オンラインでのご相談・診察にも対応しています。状況により初回からオンラインで処方できるケースもあります。まずご相談ください。
エピペン処方のご相談|札幌来院・全国オンライン
「自分は処方してもらえるか」「検査と同時にできるか」──まず相談だけでも受け付けています。平日は予約なしで受診可能です。

